カワガラスの赤ちゃん 🐣

上月くるを

カワガラスの赤ちゃん 🐣





 むかし、カワガラスはね、年老いたフクロウの代わりに天にお使いに行ったの。

 神さん、どうか、飢えている人間たちに獲物をお与えくださいとお願いしにね。


 そのころ、フクロウは集落の守り神として、村びとから尊敬されていたんだね。

 で、自分の命が果てたとき、この人間たちはどうなってしまうのかと案じたの。


 天の神は「居眠りなどしてフクロウの頼みを真剣に聞かなかったカラスやカケスにくらべて感心なやつだ。人間は獲物への感謝を忘れている、それをまず改めよ」と。


 で、もどってそのことを伝えたカワガラスは、年寄りフクロウから守り神の後任を託されたので人間にも大事にされるようになりました……というのがアイヌの伝説。

 

 

 

      🦀




 そのカワガラス、どういうわけか岩石の多い渓流が好きなんだけど、なんと、生まれてわずか数日で親からはなされて、ひとりで餌をとらなきゃならないんですって。


 もちろん、親は近くで見守っているんだけど、濡れた岩をよちよち危なっかし気に歩いてカゲロウやカワゲラの幼虫やカニ、小魚類をやっとの思いで捕るみたいなの。


 自然の掟ってきびしいなと思うけど、そうこうするうちに、ちゃんと独り立ちして「ピピピ チュシュ ピッピッ ピュ」と鳴きながら、親の縄張りを巣立つんだね。


 ほんと、えらいよね~、ほかの動物にくらべて、カワガラスの赤ちゃんたちって。

 だけど、伝説のご先祖がご奉仕した、そのご褒美は? とも思うけどね。(^_-)-☆




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カワガラスの赤ちゃん 🐣 上月くるを @kurutan

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