噴水
文重
噴水
ピアッツァ(広場)の中央にはこんこんと湧き出る泉がありました。やがて泉の上には大理石の女神像で飾られた噴水が造られ、いつしかこの街の観光名所となっていたのでした。
「大事な話があるから放課後、噴水で待ってて」
とヴィットリオに言われて、マリアンナは期待に胸躍らせました。泉のほとりで真っ青な空を見上げながら、大昔、人類が住んでいた星では、天候は制御することができなかったと、授業で習ったことをぼんやりと思い出していました。
「地球探索船に乗るんだ!」
着くなり、ヴィットリオは興奮した様子で告げました。宇宙飛行士養成学校への入学が決まったというのです。将来の熱い夢を語る彼に相槌を打ちながらも、マリアンナは心のざわつきを抑えることができませんでした。
“夜”になり、バーチャルビジョンが解除されて、天井に本来の星空が現れました。ひとり噴水に残ったマリアンナは、見えるはずのない祖先の星をいつまでも探すのでした。
噴水 文重 @fumie0107
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