美しい世界観と心優しい登場人物が紡ぐ愛の物語

魔力や騎士、異種族といったファンタジー要素と、車両や電化製品などの現実的要素が混在する世界観を舞台に紡がれる物語です。

この作品の魅力は、あらすじやキャッチコピーに記されておりますので、個人的に魅力的だと感じた部分を挙げさせて頂きます。

まずは、文章の読みやすさですね。
出版物における一般的な記法に則りながらもwebにも最適化された文体で執筆されており、ひとつの文学作品として非常に読みやすいです。
その土台がしっかりしているからこそ、世界観の美しい描写や登場人物たちの感情の繊細さなどが、強く、深く、伝わってきます。
まさに映像で見ているかのような、目の前に居るかのような素晴らしい描写力です。

また、世界観や設定の作りこみも素晴らしいです。
人物同士の絡みのみならず、国家のあり方や価値観の違いなど、ジャンルに縛られない要素も盛り込まれており、作品世界への興味が尽きません。
地名や世界観の説明といった専門用語の説明も無理がなく、上記の文章力も相まってどんどん物語の中へ引き込まれていきます。

真面目すぎる性格ゆえに自責を重ねてしまう主人公や、彼に関わる心優しい登場人物たちも魅力的です。
全員が何かしらの事情を抱えており、すべての人物が「生きて」います。
やはり根底にあるのは「心」、とりわけ「愛」の物語であると言えますね。

本編中にも「まだプロローグにも満たない」という文言がありますので、まだまだ始まったばかりの物語かと思います。
今後も更新が楽しみな作品です。皆様も是非、ご一緒に。