第10話


それから体調も良くなり、無事に次の週には、復活できた。


出社した時、上司から


上司:もう大丈夫なの?!

と問いただされたが、自分の回復力を舐めないで頂きたい。


それから2週間後の事だ。


「桐谷さん?」


〔おぉ、お疲れさん、どないしたん?〕


と笑顔で挨拶をしたが、今までにない違和感を覚えた。


「この資料なのですが、」


〔あ、それは、ここがーーーーーーー〕


なにかがおかしい。


「…ありがとうございます。」


〔いいえ〜、また分からんかったら、いつでも聞いてきてな〜〕


彼のその笑顔が、私には、少し疲れて見えた。


なにかスッキリしない気持ちを抱えて、3日ほど考えみた。


そして、私は、ある決心をした。

いつもなら絶対にしないけど、前に良くしてもらったら事もある。

私は、心配になり前に教えて貰った個人用のメールアドレスに


ーーーーーーーーーーーーーーー


件名:村瀬です。

夜分遅くに失礼します。

村瀬です。

今日、お疲れ様でした。



とメールを送った。

すると、直ぐに返ってきた。




件名:桐谷です'ᴗ'

お疲れさん!!

今日も疲れたわ〜

資料分かったかな?

また分からん事あったら、ゆーてな〜



へー、メールだとこんな感じなんだ。

多分、彼も気を使ったのだろう。



件名:村瀬です。

資料ありがとうございました。

なにかお手伝い出来ることありますか?言って下さい。


あ、可愛げなかったかも。

と思ったけど、もう送ったからしょうがない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

件名:桐谷です'ᴗ'

ほんまに?!

ありがとう〜

村瀬さんが味方やったら百人力や〜




件名:村瀬です。

私、そんなに力持ちでは、ありませんよ?


文章で見ていると普通みたいだ。

あれ?気のせいだったのか?と思っていると




件名:桐谷です'ᴗ'

じゃあ、早速!!

少しお電話しませんか?


「え、」

声が出ていた。

なぜ、そうなったのか気になり、私が返信するよりも先に彼からきた。



件名:桐谷です'ᴗ'

ごめん、忘れて


「そんな事言われたら気になるでしょ!!」


メールをするのも、待てなくて名刺に書いてあった番号に電話した。


〔も、もしもし?〕


「お疲れ様です。村瀬です。」


〔え?!村瀬さん?!お疲れ様〜、え?!ほんまに電話してくれたん?!〕


「はい、メールも気になったので、返すよりもかけてしまいました。」


〔あ、すまんな〜、忙しいかなって思ってな〕


「時間空いているので、大丈夫です。どうかされたんですか?」


〔ちょっとくらだん事なんやけどなー〕


「は、はぁ」


少しの沈黙が流れると


〔いつも村瀬さんとは、顔合わせて会話すること多いからさ、電話ってなるとちょっと緊張してんねんな〜〕


「そうですか?」


〔うん!なんか不思議な感じ〕


緊張されるとこっちも緊張するんだけどな


〔実は、また相談やねんけど、〕


「はい、」


〔ひじきのいびきがうるさくてな!〕


「はい?」


〔なぁ!!どうしたら、ええかな?寝られへんねん〕


「え?そんなに凄いんですか?!」


〔すごいんよ!おっさんみたいなイビキかくねん〕


「おっさんって…ワンチャンですよね?」


〔おん!!でもめっちゃ大きいんよ〜〕



そんなたわいもない話をした。

ひじきちゃんの事、桐谷さんの上司が変わっている事、後輩達が桐谷さんを頼っている事、それを彼は、嬉しそうに話していた。


その時は、突然だった。


〔ほんまは、村瀬さんの声聞きたくなってしまったわ〜〕


「え」


〔送ってから気持ち悪いな思って忘れてって送ったんやけどな〕


なぜ、今それを言った?


「…」


〔む、村瀬さん?〕


彼は、気分が落ちている。

そういう事にしておこう。


「別に私も少し人と話したかったので、気にしてないです。ひまだったので、」


〔ほんまに?!よかったー!村瀬さんに嫌われたら、困るからな〜〕


「なぜ、困るんですか?」


〔だって、話されへんくなるやん?〕


「そこですか?」


〔村瀬さんとは、もっと仲良くなる予定やねんもん〕


そう嬉しそうに言う彼に私は、否定出来なかった。

なぜ、こういう人は、軽々しく言わなくていい事まで言うのだろうか。

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ハイスペックな桐谷さん 小西 @kk0223tr0614

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