第20話 仕事と結婚生活の両立が叶ったうえ、ざまぁまで出来るなんて(棒読み)

 そこからあれよあれよという間に時は経ち。


 婚約式に結婚式。


 タイラーの引っ越しと忙しく過ぎていきました。


 商会の仕事を弟であるマックスに引き継いだタイラーは、お父さまから仕事を引き継ぎ。


 ビアズリー伯爵となりました。


 お父さまはアンズリー侯爵となり、お爺さまは引退。


 早くひ孫の顔が見たいと急かされていますわ。


 まぁ……それなりのタイミングで授かりそうな気配はありますが。


 子供と言えば、セオドア・ウォーカー子爵令息は子持ちになりました。


 お相手は、エメリア・ミルズ元男爵令嬢です。


 現在、あの二人も結婚しております。

 

 当初、セオドア・ウォーカー子爵令息は勘当、エメリア・ミルズ元男爵令嬢は修道院へ、という処分が下されていたのですが。


 エメリア・ミルズ元男爵令嬢の妊娠が発覚。


 急遽、セオドア・ウォーカー子爵令息と結婚することとなりました。


 子供は結婚後、で生まれたらしいですわ。


 何かやらかすと面倒だ、という事で勘当は取り消しとなり。


 ウォーカー商会と取引のある王都から遠い土地へ、家族で赴任しています。


 田舎ですが、子供には良い環境です。


 男の子だそうですからね。


 元気に遊べますわ。


 鉱山のある辺りで、ウォーカー商会の方で採掘した物を扱っているのです。


 セオドア・ウォーカー子爵令息はをしたり、エメリア・ミルズ元男爵令嬢は畑仕事に精を出したりと、元気に暮らしているようですから。


 まぁ、良かったのではないかしら?


「アイリス」


「はい、なんでしょうか? アナタ」


「ん、領地から紐の見本が届いたよ。どうだい? 出来は?」


「よいのではないかしら? アナタはどうお思いになって?」


「ん、私も良い出来だと思うよ。この辺は、8歳の子たちによる作品だそうだよ」


「ふふ。上手ではなくて? この位なら、売り物になるでしょう」


「そうだね」


「ん~。手際よく作るほうが良いのか、もっと難しくて高い物を作って貰った方が良いのか……売れ行きや市場の具合を聞いて判断したいわ」


「二、三日うちにマックスが家に寄ると言っていたから。その時にでも聞いてみたら?」


「ええ、そうしますわ」


「領地の事を知らないと、新しい産業も起こせないことだし。時間を作って視察旅行に行きたいね」


「ふふ。良いですわね」


 紐を作る技術は、アンズリー侯爵夫人となった母が孤児たちを呼び寄せては、せっせと仕込んでいますが。


 しかし、それだけでは限界があります。


「マークの後から入ってきた子……ジル、だっけ? 彼は口も達者だから交渉事を仕込むと面白いかもね」


「そうですわね。平民との交渉事は、貴族が入るよりも平民同士の方がスムーズですからね」


 ビアズリー伯爵となったタイラーは、領地のことや領民の事をよく考えてくれます。


 私が、それらに関わっても嫌な顔はしません。


 始めた事は、まだ小さくて。


 成果など無いに等しいけれど。


 今、私は幸せです。



 ―――― おわり ――――

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