あとゼロ日
私も手伝うよ。
女の子をどうやって助けたらよいか悩んでいたところで、片割れが声をかけてくれました。私はその言葉が信じられなかったのですが、片割れは続けて、
日にちを勘違いしてびしょ濡れになっても帰らない女の子なんてほっとけないよ。
片割れは片割れなりに、九十九回参拝をした女の子を気にしていたようでした。
私はにっこり笑って、頷きました。
じゃあ、一緒にやろうね。
そうして、作戦会議をして、女の子がいつもどおりやってきたら、その帰りに、お相手の男の子がたまたま神社の下で友達と待ち合わせしているのです。
男の子が神社に来るのは本当に偶然ですが、これを見ている神様が計らってくださったのかもしれないと、私たちは未来のにおいを嗅いで笑いました。
男の子がその瞬間にスマホを触ってないように、片割れが男の子をそっと促す役になりました。私は、女の子の背中を押す係になりました。
「ねぇお兄さん、あれなに?」
片割れが私たちの方を指さしたとき、私と片割れの目が合いました。
片割れはにっこりと笑いました。
しっかりと抱きとめられた女の子と、たくましい青年を見て、私は安心しました。
「がんばってね」
「あの感じだときっと大丈夫だよ」
片割れはいつのまにか私の真横に来ていました。二人を見つめる横顔はとても柔らかい表情をしています。
お互いに真っ赤になって話す様子は、とても可愛らしくて、私も自然と口角が上がりました。
春の優しい日差しが注ぐ中です。青年の友達は急用でした。神様の力は偉大です。
あれから二十年が経ちましたが、今でもあの女の子は月に一度はこの神社に参拝に来ます。左手の薬指には指輪が輝いています。同じように薬指に指輪のある男性と、ベビーカーの中に、もう一人います。未来にも、この二人が混じり合ったにおいしか感じられません。
片割れは相変わらず舞っている桜を掴もうとがんばっていました。
それでも、お見送りはいつも一緒にするのです。
いつまでも幸せに。
願いを叶えることになりました。 ちょうわ @awano_u_awawa
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