湧き水が好きなんだゾウ 🧜♀️
上月くるを
湧き水が好きなんだゾウ 🧜♀️
そのころ(いまでも十分にそうですが(笑))ゾウたちは大の仲よしでした。
あまり仲よし過ぎて、どんどん数が増え、草や木の葉っぱが追いつきません。
食べ物が少なくなると生きていかれず、ベジタリアンのゾウは困惑しました。
そんなとき、ふと青い水面を見やると、底の方で美味しそうな藻がゆらゆら。
そうだ、水にもぐればいいんだ!! みんな、わしがまずやってみるからな。
一団を率いるボスがとびこんでみると、きれいな泉がポコポコ湧いています。
美味しそうな水藻をくわえて水面に鼻の先を出し、ふうっと息を吐きました。
待っていた子どものゾウたちはやわらかな水藻をおおよろこびで食べました。
🐘
それがやさしい面差しから「人魚の祖」と呼ばれるマナティーのはじまりです。
少しずつ水に慣れたゾウたちは、水中での暮らしを楽しめるようになりました。
泉のなかをおっとり泳いで藻を食べ、ときどき水面に鼻を出し息継ぎをします。
そのうちに水中へ鼻をひっこめると、ピタッとふたが閉まるようになりました。
最初は巨体にびっくりしていたお魚たちも、藻しか食べないので安心しました。
子どもマナティーとあそんだり、背中の苔を食べてきれいにしてあげたり……。
ふしぎなことに、ワニやサメなどの肉食動物もマナティーには牙をむきません。
なので、お魚はおそわれそうになると大人マナティーのお腹のしたに隠れます。
🐠
かくて、地上の人間や動物たちのいろいろ(笑)をよそに、今日もマナティーたちは透き通ったカリフォルニアの泉のなかで、おだやかにのびやかに暮らしています。
日本の童話作家・小川未明さんの『赤い蝋燭と人魚』とマナティーの関係ですか?
悪徳商人に売られた人魚のむすめは鉄の檻ごと海底に沈み、それから……。(*'▽')
湧き水が好きなんだゾウ 🧜♀️ 上月くるを @kurutan
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