空の深さを知る

アホ

第1話

深い深い闇に落ちた気分だった。なにもできない。何者にもなれない。

願ったものすら手に入れられず気づいた時にはもう遅かった。駅を歩く。

スーツを着た社会人たちがすれ違いざまに若い服装を見ている。

自意識過剰による劣等感、小さ身に対する後悔、暗い部屋での思い出が蘇る。

なぜ僕は生きてるのか問いかける。

愛を得ようと才なき体に興味は向けられず、日々過ぎ去っていく毎日。

背負う必要はないと理解していながらも苦しみは永続し心を蝕む。

優しさを知った。胸が満たされるのを知った。だが同時に優しさは過ぎ去っていく事知った。

変わらぬ音を聞く。変わらぬ言葉を言い続ける。やる事なす事は生まれた瞬間から決まってると気づいた。いや違う努力せぬ自分が悪い。

その言葉はいつしか呪いとなり感情は消えていった。

生まれながらにして恵まれたものがいる。生まれながらにして不幸な人間がいる。

普通の私にはどちらも羨ましく思えた。

吐き出しても苦しみは癒ることはなく太陽が下がり落ちるのみ。

それでも時代は変わりゆく、変わっていく。私も歳をとって行く。

人に不変などありえないのだから私もまた変化たりえる存在だと信じよう。

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