第3話 愚かな者
階段はかなり近未来的な作りになっている。一段一段ずつ降りていき俺達は最新部までついた。
そこには近未来的な壁と対照にかなり古風で大きな壁画があった。そこにはよく見ると色んな色の球体がその壁画に埋まっていた。
「これは一体なんなんですか?」
その人は慎重に言い始める。
「これは古代日本人が残した日本を救うための神獣達です。決して妖怪ではありません。この中の一つをあなたに授けます。ただしどの神獣に認められるかは保証できません。」
壁に埋まっている球体は全部で十二個あった。俺はその中から直感で赤の球に触れた。
触れた瞬間赤い光が俺を包んだ。
––––貴様は力を欲するか?––––
「力が欲しい」
––––何のためにその力振るうのか?––––
「元の日本を取り戻すため」
––––よかろう、貴様の能力は人知を超えておる。我にふさわしい。力を授ける、我が名は朱桜。我の力存分に扱うが良い––––
目を覚ますと右手の甲に赤い紋章のようなマークが付いている。
「認められたのですね。見込み通りです。地上に行くことを許可します。後のことは地上にいる陰陽師に聞きなさい」
そうして俺は地獄の世界に足を踏み入れた。
その力がどんなものかも知らずに––––
元の地下の街に戻り、俺は家臣の一人に地上へと繋がる階段まで案内された。階段から先は一人で行き、前突き返されたところを通ることができた。
地上に出るとまさに地獄そのものだった。前見た沼津の景色は跡形もない。駅までボロボロだ。
駅の近くに陰陽師の休憩場みたいなものがあったのでそこに行き、外にいたお姉さんに話しかけた。
「すみません、あなたは陰陽師ですか?」
お姉さんは驚いた顔をしてここで何をしてるのと俺を強く問いただした。そして俺はことの成り行きをお姉さんに説明した。
「なるほど。神獣に選ばれた愚者様だったのですか。失礼しました。どうぞこちらへ」
愚者様?知らない単語がまた出てきた。とりあえずお姉さんについて行き、テントの中へ入った。
中に入るといかにも一番偉そうな人が椅子に座っていた。
「初めまして、陰陽師静岡支部隊長小野雄介です。今戸惑っていらっしゃるでしょう。全てを私の口から説明します」
事の全てを隊長さんが説明してくれた。
神獣に選ばれたものは愚者と呼ばれるらしい。なぜ愚かな者かというと愚者は天の王と戦う運命があるらしい。今の天を変え、日本を変える。これが愚者の役目。妖怪が急に溢れ出したのは今の天の王が暴走しているかららしい。
(それにしても愚者か・・・。俺にふさわしいな)
愚者は伝説によれば全員で十二人いるらしい。確かにあそこにあった球体は十二個あった。
どうやら伝説によると天に向かうには十二人揃わないと行けないらしい。
それまでは自分の力を制御、さらにもっと強くならないといけない。
「分かりました、妖怪を倒してとにかく強くなります」
(元々日本を取り戻すために地上に戻ってきたんだ。天の王でも何でも倒してやる)
現在の日本の状況は深刻で残っている県が二十五個しか残っていない。半分ぐらいが占領されてしまっている。
まずは俺達は沼津市ひいては静岡県を取り戻すために行動することが隊長の決定で決まっているらしい。
「今から沼津を取り戻しに攻撃を仕掛けに行きます。ぜひ愚者様の一緒に」
そう隊長は言った。もちろん俺もついて行く。
そして俺と陰陽師達はテントを出て、さらに結界を出た。
ここらの妖怪を率いてるボスがいるらしいのでそいつを倒し、この街の中心に埋められた核石を破壊することで沼津市は解放される。
核石を破壊する班とボスを倒す班に別れた。俺はボスを倒す班だ。
俺は隊長率いる陰陽師と共にボスのところへ向かった。
天に選ばれた君と地獄に選ばれた俺 天倉ましろ @N_HaD
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