狐の真珠(まじゅ)が、青年医師の草世(そうせい)に恋するところから物語が開幕。美しい少女の姿になった真珠のひたむきな「押しかけ女房」ぶりに胸が熱くなります。
真珠は無垢な心の持ち主。でも、やさしいだけではありません。草世の危機とみるや狐の姿で颯爽と駆けたり(凜々しい!)。おいなりさんの油あげをわざと破いて食べたり(愛らしい!)
草世は誠実な好人物ですが、やや臆病な「こじらせ男子」でもあります。好対照な二人の恋の行方が見所。そこに呪詛にまつわる事件が絡み、物語が展開していきます。
美味しそうな油あげ料理や細やかな情景描写など、独特の作品世界も魅力です。なお「油あげ大好き」というタグは、カクヨム全作品の中でも、この作品だけですよ。
まるで昔話のような小さな田舎町の夜更けから、物語は始まる。
誰も尋ねてこない雪が降る寒い夜。小さな女の子が薬が欲しいと医者である草世の下へと訪ねてきたのだ。
怪しい。この上なく、妖しい。
しかし、草世は正体に気づいても尚、女の子の言う通りに薬を用意する。
そんな出会いから一転、草世の優しさに好意を抱いた真珠が押し掛け女房となって、舞い戻ってきたのだ。
真珠の明るさ、草世の真面目さで綴られる物語は、優しさに満ち溢れている。
些細な食事のシーンですら、和やかで今にもお腹が空いてしまいそうなまでに暖かい。
一人で食事するよりも、二人の方が美味しい。
当たり前のことのようで、きっと忘れがちなことだろう。
しかし、楽しい時間ばかりではない。
次第に話は薄暗い影が出し始める。
その時に、二人がどう動くか。
思いがどう、うつろうか。
どうか、最後まで見届けていただきたい。
オススメです。
青い満月の夜に、小さな女の子が
医者の草世を訪ねるところから物語が始まります。
実は白狐だと正体が分かっても態度を変えない人間の草世に
恋をした白狐の真珠ちゃん
白狐一族のあやかし。
世間知らずな真珠ちゃんは空気が読めず、
草世のお嫁さんになることを決める(あやかしだけに唐突ですね。笑)
ぐいぐい押して押しかけ女房になりたいと一緒に暮らし始めます。
その姿が天真爛漫でかわいい(作家史上ピュアな主人公だそうです)
舞台は少し昔の日本でしょうか
都会はあるが、山奥の田舎。少し変化があると
あっという間に噂が広まるような、平和で穏やかだけど閉鎖的な村。
そこに奇怪な事件が起こるのですが……。
今回は何といっても🦊だけに油揚げ! 美味しそうな飯テロ描写。
囲炉裏があって、簡素な料理だけどとってもほっこりほくほく美味しそうです。
わくわくときゅんっとするような恋愛話に
今回も大満足です😋
和風&恋愛&呪術が好きな方にお勧めします!(*^-^*)
人間に恋をしてしまった白狐の押しかけ女房。マイペースごり押しなのになんとも素直で憎めないヒロイン。それを迎える医者は、社会に疲れ、自分を殺して生きてきた、まるで現代人のような心を引きずっている男。
妖に呪詛の人形と和風ホラーテイストも生かされたストーリー。しかも狐の大好きなあぶらあげ三昧までいっしょに味わえるというサービス付きです。
ぐいぐい物語を引っ張ってくれる白狐の可愛らしさと健気さが前面に出ていますが、ラストに近づくにつれ、男が成長していく物語でもあると感じました。
大事なものに気がついたとき、人は殻を破れるのかもしれません。
二人の恋の行方をぜひお楽しみください。