『カクヨム』を知って初めて読んだのが、
この短編集だった。一つひとつの物語が
怖いと同時に余りに魅力的で、物語其々の
世界に没頭出来た。
作者は長編も大変魅力的であり、本も
出されているが、取り分けホラー小説と
いうジャンルに於いて《物語を創る事》と
《物を語る事》とを、とても丁寧に
仕分けられている様に思う。
この、仄昏い三畳の奥の間で語られる
怪異譚は、動もすると薄暗がりの中から
こちらの世界へと這い出る機会を伺う
モノたちを、語る。
語られ、存在を識られたモノたちは
嬉々として狭い奥の間を這い出してくる。
物語が真であろうが疑であろうが。
そんな事は少しも問題ではないのだ。