海苔の佃煮さま 🍚
上月くるを
海苔の佃煮さま 🍚
いわゆるファストフード的なものを好まないヨウコさん、いけないと思いながらもどうしてもやめられないのが、熱いごはん(レトルトもち麦飯)に海苔の佃煮添え。
塩分過多にうしろめたさを覚え、今日こそやめようやめようと言い聞かせるのに、つい丸っこい瓶に手を伸ばしてしまうのです、罪滅ぼしにスライスチーズをのせて。
どういう罪滅ぼしかと申しますと、たんぱく質を補うという意味なのですが、当然ながらチーズにも相当な塩分が含まれるので、結果的にいいやらわるいやら。(笑)
🧀
なにがいけないって、あの黒い丸い小さな瓶を冷蔵庫にいくつも買い置きしておくのが諸悪の権限なのでありまして、なければ食べずに済ますのに、この根性なし!!
往年のバレー監督みたいに己を叱咤激励しますが、どういうわけか海苔の佃煮さま(某カクヨム作家さまの作風を勝手に拝借 (^-^;)に対してはなぜか意志薄弱……。
かくて今日の夕餉も、ほっかほかレトルトもち麦飯にスライスチーズ&海苔の佃煮さま添えで〆となることは明々白々、つぎの健診の血液検査がいまからアレで。💦
🧪
ところで、どうしてここまで海苔の佃煮さまにこだわるのかヨウコさんが自己分析してみるには、子どものころのある一件がトラウマになっているのではないかなと。
父親の末弟は獣医師で、ヨウコさんが小学校へ入るころまで同居していましたが、その結婚相手が管理栄養士でして、兄嫁の料理にも、すこぶるうるさかったのです。
ある夏、農家の主婦で多忙な母親が海苔の佃煮さまをヨウコさんと妹に食べさせているところを目撃した叔母は「子どもがそんなものを食べてはいけません」と一喝。
以来、黒い丸瓶は食卓にのぼらなくなりましたが、好物を取り上げられた飢餓感がヨウコさんをして海苔の佃煮さまへ向かわせるのではないかと、そう考えるのです。
🌠
さらにところで、五年目を迎えた句会でいまだに人気イマイチ(笑)のヨウコさんですが、つぎの句に珍しく何点か入ったのは、みなさん、けっこうお好きなのかな?
――紅梅や海苔の佃煮ぽんと開く 🌸🥢🍒🎏
子沢山の長兄だった父と伴侶の母、親子ほど年少の叔父夫婦も鬼籍に入りました。ヨウコさんより四つ下の妹も海苔の佃煮さまが好物かどうか訊いたことありません。
海苔の佃煮さま 🍚 上月くるを @kurutan
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