Xpatの日記

九月ソナタ

Xpatの日記

 私は今、「賢いヒロイン」のほうに追われていて、ショートをやっている場合ではないのですが、柴田恭三郎さまのお題を見たら書きたくなって、拙作の宣伝をかねてやってまいりました。


 Xpat(エクスパット)いうのはExpariateの略、仕事で海外に長く居住する人のことです。私はそのXpatで、いろんなところに住む機会があり、日記をつけていたので、それを紐解くとたいていのことは書けるかな。質は別ですが。


 それでは、「チーズ」の話から。

 南米のコロンビアに住んでいたことがあります。自然がとても美しい国ですが、人々の多くは貧しいです。でも、貧乏な国の金持ちって、想像できないほどの金持ちで、メイドが10人以上いたりします。食材も、スイス人のやっている肉の店とか、フランス人のチーズの店とか、本国から直輸入している店がありました。

そのチーズの店に行ったことがあります。

 その時、フランス人の店主が勧めてくれたのは山羊の三層になっているチーズでした。

 上が朝に絞った乳から、下が午後に絞った乳から作られており、味わいが微妙に違うのだそうです。真ん中の薄い層は火山灰だそうです。

 家に帰ってさっそく試したのですが、私には上と下の違いが全くわからず、火山灰なんか食べて身体に害がないのかしら、なんて思いました。

 この山羊の三層チーズはチーズ党の間では知られているのかもしれませんが、私はあれ以後、二度とお目にかかったことがありません。


「行列」の話。

 西アフリカに住んでいたことがあります。そこには二度と行きたくはないので、名前は書きません。その国の人々が知ったら、よい気持ちはしないでしょうから。

でも、夫のアフリカ行きが決まった時、私はとてもうれしかったのです。アフリカといえば、シュヴァイツァー博士。

 私は子供の頃、シュヴァイツァー博士の伝記を読み、アフリカで医療奉仕をされたことを知り、とても尊敬していました。

 博士はどんな生命をも尊び、たとえ蟻の行進を見ても殺さずに、進路を変えてやったというところがとても印象的で、なんて優しい人なのだろうと思いました。

 

 でも、アフリカに着いたら、そこはジャングルの中ではなくて町なのですが、間もなく、キッチンに蟻がやってきました。行進どころではありません。襲撃です。

 進路を変えてればすむ、なんていう生半可なものではありません。

 それで、殺虫剤を内にも外にも撒きました。それでもやってくるので、また撒きましたが、あれには本当に悩まされました。

 その時、あのシュヴァイツァー博士の伝記にあった記事は、アフリカを知らない作者の作り話ではなかったのかと思いました。


 というわけで、三噺を書きました。

 これから、「賢い」に戻りますが、もしよかったら、そちらのほうも読んでいただけれたらうれしいです。


https://kakuyomu.jp/works/16817330654535610999


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