第3話,朝食

アイーダさんと手を洗いに行ったあと俺は一人で食堂に向かっていた


なんでも俺がひどく腕を痛がっているから氷嚢を持ってきてくれるらしい


天使というのは案外身近にいるものなのかもしれない


昨日イムさんと一緒に館の部屋を見て回ったので食堂まではまっすぐ向かうことができた


食堂のドアを開けるとフレアさんイムさんアイーダさんを除く館の住民たちがスタンバッていた


机を見ると朝食のパンとオムレツ,スープが置かれていた


従者の皆さんは俺に気づく軽く会釈をした


俺も軽く会釈し空いていた後ろの席に座った


「海斗さんおはようございます。」


隣に座っていたロミルダさんが声をかけてきてくれた


「あ,おはようございます」


「朝の稽古お疲れ様でした。初めてだったから大変だったでしょう?」


「あ,はい,ほんとに大変でした」


自分でもわかるくらいよそよそしくてぎこちない喋り方だった


確かに俺がコミュ障というのもあるが俺がこうなるのにはもう一つ理由があった


ロミルダさんは獣族だったのだ


ふわふわしているウサギのような耳にウマのような尻尾

綺麗な顔で胸も大きかったがそれよりも初めて見るケモ耳に俺は興味津々だった

俺の目は完全に彼女の耳に釘付けになっていた


相手もそれを察してきたのだろうロミルダさんは続けて俺に質問してきた


「海斗さんの世界には獣族はいなかったのですか?」


「あ、はい,全くいませんでしたね。そういうのは完全にゲームの世界だけでした」


「ゲーム?なんですかそれ?」


「ああ,この世界にはないのか。

ゲームというのは人間の娯楽の一つでなんというか,現実とは違う世界を楽しめるもの,みたいな感じです」


「へぇ~,面白そうですね,いつかやってみたいです」


「とっても面白いですし気にいると思いますよ」


そんな感じで少し談笑しているとアイーダさんが氷嚢を持って食堂に入ってきた


「ごめんね遅くなって,はいどうぞ」


「いえ全然,ありがとうございます」


「どういたしまして,それじゃあ私も自分の席に行くからね」


そういうと彼女は自分の席に戻って行った


「えっ自分の席とかあったんですか?」

ロミルダさんに質問した


「これと言って決まってないけど仲のいい人たちで固まってるって感じかな」


確かによく見るとロミルダさんの隣も獣族だった

同じ種族同士で仲がいいのだろう


アイーダさんは人間が固まっている席に座った


とは言ってもこの館に住んでいるのは俺を含めて10名ほどなのですぐそこなのだが


しかしこの館には人間以外の種族が人数の半分を占めていた

おそらく世界一多様性のある館なんだろうなと思った


そうこうしていると入り口からイムさんといかにも寝起きって感じのフレアさんが入ってきた


「おはようございます!」


俺以外の従者全員が一斉に立ち上がりフレアさんに挨拶した

俺も慌てて立ち上がり挨拶しておいた


「んーん、おはよう、みんな」


フレアさんはそう返すと一番前の席に座った。

「いただきます」

フレアさんがそう呟くと他の人はそれぞれそれにつづきいただきますと呟いた


俺もいただきますと呟き料理に口をつけた


結論からいってしまえば死ぬほどうまかった

なんかもうすごくうまい

オムレツとかなんかもうすごくトロッとしててめっちゃうまかった

スープも初めて冷たいのを食べたけどスープって冷たくても美味しいということを知った


なんかもうすごく幸せな気持ちになった


腕の痛みを忘れるほどの美味しい料理を俺は朝から堪能することができた


なんかやってけそう


そう思った朝9時ごろであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界転移した先で最強お嬢様とその執事と一緒に冒険する話 @satouti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る