閉鎖する部屋
それからだった。
友人は頻繁に家に訪れてはあたしに構う。あたしはというと、素直になったので素直に対応する。飾らない言葉で、悪い言葉だって使った。
初めのうちは安心を覚えていた。
友人は生き方を示してくれた恩人。
話す内容は小難しいけれど、分かりやすい類であれば、よく物語を語ってくれていた。
次第にその本質を知る。
知識を満ちつけていけばゆくほど、友人の度を過ぎた偏りに偏った部分、変態性を知って、ただの冷やかしにしか思えず冷たくかかる。
それでもあの愉悦な笑みは壊れないものだから、全く不愉快この上ない話だ。
父も新しかった母も何も言わない。
父は変わらないなど友人を笑い、あたしを視界に入れたがらない。
新しかった母はあたしと友人の様子を見て楽しそうで良かった、と心の底から笑う。
でも、あたしを見ないようにしている。
だから中学、県外のものを選び家を出た。
寮生活だったけれど、文句は言われなかった。
お金に関しては友人が負けじと出してくれた。父達はいいと遠慮をしたが友人の熱に負けたようだった。寮の部屋はシェアルームだった。
そこで幼馴染だった白詰真白と再会する。
父について行ってから手紙のやり取りはあったものの、対面するのは久しくあり、上手くやっていけた。
そうして高校。
あたしは今も、その生き方だ。
もちろん、幸せを諦めたことなんて一度だってない。
ただあたしが憧れ夢を見たのは幸せだけじゃない。
一人で生きていけるような強さだ。
ひとり。
その強さを身に着けようとした。
そして今の様、笑いようもない救いようもないあたしの選択しきれない。濁っている。
結局、あたしは父を見限った。
そして友人に示された生き方も選んだとはいいがたく、誘導されて選ばされたようなものだから。選択したとはどちらも言い難い。
だからあたしの人生では、選択したことなんて一度だってない。
今更どうするって、選択肢を与えられてもやっぱり変わらず、分からないで終わる。あたしには何を選べばいいのか分からない。何がいいことで悪い子とかは分かっても、その正しさは一生疑問符が回る。
そんなあたしに。
分からないクズに成り下がらないためだけに停滞したあたしに。
選べるはずは蒙昧ないはずなのだ。
薄幸少女救済計画ーAlice in Relief Projectー 宝来來 @hourairai
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