終話 あどかあがせむ
「わあああん!」
もうとっくに、
もう充分ですって訴えたのに、三虎が止まってくれない───!
あたしどうすれば良いの───!
三虎が前に、
そこをゆっくり、動くか動かないかくらいの速度で
芯を舌先でツンツンつつかれれば、痺れる
芯を舌で左右に揺らされれば、気持ち良さで意識が飛びそうになる。
三虎が
ひー!
もう奥まで欲しいですー!
至極のくわいらくが激しく渦巻きすぎて、もう、もう……。
「ひっ!」
本当に意識を手放しそうになる鋭いくわいらくに身体を
満足そうに、ニッ、と口元が笑っている。
はあ、きつかった。
あのですね、早く欲しいんです……。
と思って三虎を見ていると、
「外は問題ないようだ。じゃ、奥までだな。」
意地悪な言葉とともに、望むものが一息に至極のくわいらくの渦を突き破った。
あ、
あたしは
────そんな事言うなんて、三虎ひどーい!
くわいらくの
ひ、
あたしは啼く。
───三虎、嫉妬なの? ただ、からかってるの? どっち。どっちにしろ意地悪ー!
くわいらくは砕ける波となり、白い光の粒となり、光の粒は
ああ、きつい。
……すごく良い。
どうして
きつく攻め上げられているのに、悦んでしまう。
「ううん? これで素っ裸で戦えるのか、おまえは?」
───意地悪ー!
この戦うは
「綺麗だな。」
唐突に耳元で囁かれる。
三虎はあたしのこんな姿を見て、そんな事を言う。
三虎への恋いしさがこんこんと
「三虎ぁ……。あたしには、三虎、だけです。三虎、じゃなきゃ、あんっ!」
三虎は言葉ではなく身体で応えてくれる。
三虎の首に腕を巻きつける。
三虎はふっと笑った。それだけで、あたしの胸が、ぎゅっと震える。
こんなにも与えられているのに、まだまだ三虎が欲しい。
あたしは全てを三虎に
あたしは三虎の唇を求め、三虎は応えてくれる。
走り
三虎はあたしを揺すり上げ、深く引く。
(三虎。恋しい。三虎……。)
あまりのくわいらくに頭がぼぅっとしながら、
「あたしに、下さい、三虎。あたしの、
あたしは叫ぶ。
「いいとも、全てを。オレの、
今こそ叫ぶ。
* * *
でも、白い雲の合間から、地上を見ることはできる。
昨日の夜は、あたし一人で、地上を見ていたら、すごかった。
遠くて、握りこぶしぐらいの人影は、良く見えるわけではないけれど、さ
───三虎。恋しい。三虎。と。
そして、古志加が困りながらも、悦んでいるのがわかった。
二人は
あたしは、そんなに時間をかけて愛されなかった。
……不思議ね。
そんな事を覚えているなんて。
今はもう、
あたしは地上を見下ろす。
あたしの記憶は、色々なことが光に溶け、喜びしか覚えていない。
あたしは覚えている。一等強い喜び。絶望の夜を、明けぬ夜を、強い光で闇をはらった、
花麻呂。あなたが産まれて。
古志加。あなたが産まれて。
そして今、花麻呂は幸せだ。自分で幸せになれる力がある子だ。あたしは安心して見守っているだけで良い。
古志加。あたしはずっと古志加の幸せを願い続けて生きて、死んでからも、あなたの幸せを願い続けた。
そして今、古志加は幸せだ。もう間違いない。あたしはクスクスと笑う。
あたしの娘には、
あたしは、温かい光を揺らしながら、嬉しく微笑んだ。
今は昼。あたしは、
地上に立つのは古志加。
己に与えられた屋敷の庭で、お香を
───母刀自。あたし、三虎が恋いしいの。
古志加は、一心に空を見上げている。
もうすっかり、
────ふふ。
愛しい娘。
きっと。
きっと、その願いは叶えられますよ。
だって、私には、分かるから。
────完────
* * *
「あらたまの恋 ぬばたまの夢」
終章 あたしの愛子夫
終話 幸せです。
https://kakuyomu.jp/works/16817330650489219115/episodes/16817330652446033622
のあとの話です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます