第六話 ぬれどあかぬを
かき
あどか
こんなにかき抱いたのに、これ以上、どうすれば良いというのか。
※麻束──背丈を越える麻を数本まとめて抱え、力をこめて引き抜く事から、「かき抱き」を導く。
万葉集 作者不詳
* * *
三虎は少々かっかとしている。
卯団の新入り、
昼間に見せつけてやったし、
「そんな事ないですよ。うちは健全、安全が主題です。ハッハァ!」
とかほざいていたが、いつからそんな言葉を掲げるようになった。荒弓の目がわずかに泳いだのをオレは見逃さなかった。
つまり、夜はこうなる。
「わあん、恥ずかしいですよぅ。」
月明かりの寝床に白く浮かび上がるは、輝く
一糸まとわぬ姿を見られ続けた
オレは
「オレは恥ずかしくない。」
あられもない姿をさせているのは重々承知だ。
その
古志加の
肌がところどころ赤くなっているのは、既にオレが吸って
豊かなものへの礼儀である。
「オレが長く留守にしてる間に、
オレは本当に口が悪い。
そんな事ないだろう、分かってて、口にしてしまうのだから。
古志加は目を見開き、
「なんですかっ。そんな事あるわけないです! もし万一屋敷に上がりこんできたって、素っ裸でもあたしは戦えるって前に言ったじゃないですか!」
まったく隙だらけの姿勢で、ぷりぷりと怒る。
オレの
「じゃあ味で確かめるしかないな。」
もうじっくり目で見て楽しんだ場所に唇を寄せ、茂みの下に舌を潜らせる。
「あっひぇ!」
久しぶりに、古志加の色っぽくない変な声が出た。
オレは、ふっと笑ってから丁寧に舌を這わせる。
どうすれば悦ぶか、ちゃんとオレは分かっている。
「あ、味って、もう昨日確かめたじゃないですかー!」
古志加が抗議する。
「どうだかなぁ。」
オレはとりあわない。
もう今日は、イヤと言ってもとことん時間をかける、と決めている。
天にも昇るような、快い心地にさせるまで、とことん。
オレは舌を上手く使い、点で攻め、線で攻め、円で攻め、その奥を攻め、
単調にならぬよう、緩急をつける事も忘れない。
古志加の絶えることのない
古志加は全身玉の汗をかき、身体は魚がぴちぴち
「も。もう、もう。」
とうとう古志加から切ない哀願が出る。
いつもならそこで止めてやるが、今日は許さない。
全然舌が止まらない事を悟った古志加は、
「わあああん!」
と半ば泣き出しそうになる。
(じゃあ、もうちょっとしたらな。)
今度は広く、
(良し良し。よろこんでるな。───窈窕淑女 君子好逑 窈窕淑女 寤寐求之 求之不得 寤寐思服。※)
滴らせたぶん、褒美だとばかりに丹念に舐めあげ、仕上げに吸いあげ、古志加に、ひっ、と悲鳴をあげさせたところで、やっと許す。
肩で息をしている古志加に、
「外は問題ないようだ。じゃ、奥までだな。」
とやはりオレはニヤニヤしながら、奥まで一気に確認をした。
おお、滑ること滑ること。
……
────
古志加は高く長引く
「ううん? これで素っ裸で戦えるのか、おまえは?」
オレは意地悪く言ってやる。
古志加はムッと不満そうな顔でこちらを見てくるが、何か言う前に、滑り、突き、滑り……。
揺れ続ける豊満な乳房が、いっそう大きく、弾み揺れる。
オレは口が悪い。
だが、わかってるよな? 古志加。
こう言いつつも、動きは滑らかで、突くところは突き、優しく触れるところは優しく触れている。
全ては花びらを
なぜ、これだけさ
オレの
オレの腕のなかで、もっと乱れてみせろ。
もっと身体を燃え立たせろ。
オレを求めろ。
オレ以外には、決してその姿は見せるな。
汗にしとどに濡れ、大きく口をあけた古志加は、
古志加の耳に唇をよせる。
「綺麗だな。」
* * *
※───
────たおやかで美しい淑女は、
加須 千花がぽそりと呟く。
「
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