BardとChatGPTの数学力を難関大数学入試で比較(大阪大学編)
過去二回、BardとChatGPTの数学力を東大、京大の数学入試で比較してきました。比較は今回で最後にします(気が向いたらまたやるかも)。選んだ問題はかなり遡って1970年、阪大の数学入試です。
5つの国から集まった人たちが両手をつないで1つの輪をつくる。どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐようにしたい。このような輪をつくることができる最少の人数を求めよ。
難易度的に小学生でも解けると思います。ただ、今までを振り返るとBardとChatGPTがどのような解答を返してくるのか正直予想できません。特に京都大学編のBardの解答はひどいものでした。では、そのBardの解答を見てみましょう。
5つの国から集まった人たちが両手をつないで1つの輪をつくります。どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐようにしたい。このような輪をつくることができる最少の人数を求めてください。
解答1
5つの国から集まった人たちが両手をつないで1つの輪をつくります。どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐようにしたい。このような輪をつくることができる最少の人数は15人です。
まず、5つの国からそれぞれ1人ずつ選びます。この5人は、それぞれが別の国から来た人同士で手をつなぐことができます。次に、この5人からそれぞれ1人ずつ選び、新たに2つの手をつなぎます。この2人を選ぶ際には、すでに手をつないでいる人と手をつなぐことはできません。この操作を繰り返していくと、最終的に15人の輪が完成します。
この方法では、どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐことができます。また、これは最小の人数です。例えば、14人では、5つの国からそれぞれ1人ずつ選ぶことはできません。
解答2
5つの国から集まった人たちが両手をつないで1つの輪をつくる場合、どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐようにするには、少なくとも10人の人数が必要です。
なぜなら、5つの国から2人ずつ選んで、両手をつないで輪を作ったとしても、まだ2つの国はつながっていないからです。そのため、少なくとも10人の人数が必要となります。
10人の人数で輪を作った場合、どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐことができます。
解答3
このような輪をつくることができる最少の人数は、18人です。
1人の人から、両手で5人の人と手をつなぐことができます。そのため、18人の人が手をつなぐことで、5つの国から集まった人たちが両手をつないで1つの輪をつくることができます。
また、どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐことができます。これは、18人の人が手をつなぐことで、5つの国から集まった10組のペアが構成されるためです。
したがって、このような輪をつくることができる最少の人数は、18人です。
正解は2番目の10人です。ただ、説明に違和感を感じる。
解説の前にChatGPTの解答も見ておきましょう。果たして正解しているでしょうか。
異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐようにするためには、各国の代表者同士が交互に手をつなぐ必要があります。
5つの国がありますので、各国からの代表者をA、B、C、D、Eとします。以下に、最少の人数で輪をつくる方法を示します。
1.AとBの代表者同士が手をつなぎます。
2.BとCの代表者同士が手をつなぎます。
3.CとDの代表者同士が手をつなぎます。
4.DとEの代表者同士が手をつなぎます。
5.EとAの代表者同士が手をつなぎます。
このようにすることで、どの異なる2つの国をとっても、それぞれの国から来た人たちがどこかで手をつなぐことができます。
今回は調子が悪いようです。京都大学編では惜しいところまでいってたんですけどねぇ……。
まず、どの国も1人で手をつなげるのは2つの国まで。3つ以上の国の人と手をつなぐには、同じ国の人が最低でも2人いなければなりません。集まった国が6つなら3人。
この問題では国が5つなので4つの国の人と手をつなげばよく、同じ国の人が2人必要です。よって、答えは5・2=10(人)となります。
集まった国の数をnとして考えると、1人あたり2つの国の人と手をつなげ、n-1の国の人と手をつなぐので、最少人数はn(n-1)/2
外務省のデータによると、世界の国の数は日本も含めて196か国(国連加盟国数は日本を含めて193)。なので、世界規模(というより地球規模?)で実現するには196・195/2=19110より、少なくとも19110人の人に協力してもらう必要があります。現実的ではありませんね。
輪ではなく直線ですがn=5の場合で具体例をひとつ挙げておきます。国はA、B、C、D、Eとしました。
D―E―B―D―C―B―A―C―E―A
あとはDとAが手をつないで円形に並べば問題の条件を満たします。
東大、京大、阪大の3大学の数学入試でBardとChatGPTの数学力を試してみましたが2つとも癖が強いというか、解答の特徴をひとことで表現するとBardは「大ざっぱ」でChatGPTは「几帳面」といったところでしょうか。
勝敗をつけるならBardに軍配が上がりますかね。説明はまあ……あれですが一応正解しているので。
ChatGPTに難関大学の数学入試を解いてもらった 田中勇道 @yudoutanaka
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