突風の散華 / 双月意沙 作
名古屋市立大学文藝部
突風の散華
霞のように霧のように
視界を掻き消す桜の花と
真紅となってここに散る命の誇り
最後のひとひらが
この刹那の情に
あなたに届けたくて
風の向こう走った軌跡を辿る
光溢れる独り立つ地に 愛し焦がれた四月が来る
僕に想え 僕に想え 鮮烈な今を駆け吹くならば
瞳開いて それは風のうたかた 閃く紅い春のしぶき
想い惑えど 色は変わらず
深い記憶の海にまた沈む
めぐる季節を引き裂いた 突然の
泣いていたのは僕だったのか
嗚呼どうして崩れゆくのだろう
あなたのいない春はこんなにも寒かった
触れた先から融けていく小さな
ただそれだけの物語に
夢の
伸ばした手さえ愚かな幻想にすぎなくて
散るまでの
進むこと思い残す花に 還るべき世界は無いのだと
また 紅が散る 春が舞う
春が散る
光溢れる一人立つ地に 愛し焦がれた四月が来る
僕に想え 僕に想え 鮮烈な今を駆け吹くならば
瞳開いて それは風のうたかた 閃く紅い春のしぶき
突風の中を一直線に駆ける
突風の散華 / 双月意沙 作 名古屋市立大学文藝部 @NCUbungei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます