春にさよなら

作者 野々ちえ

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★★★ Excellent!!!

人が成長するということは、どんな事か。
この小説は非常に分かり易くそれを伝えてくれます。
いつまでも無邪気な子どものままではいられない?
それはそうですが、重ねてきた齢の分だけ人は賢くなってもいるはず。

隣の芝生は青く見える。
人には人の事情があるもの。
過去は変えられないが、未来は変えられる。

そして、成長して賢くなったのは決して自分だけではないってことも。
美しい思い出に浸るだけでなく、そうした世の中のコトワリというものを「直接説明せずして」表現しているのは素晴らしい技法です。
この作品に「劇的なイベント」は含まれていませんが、それが逆に作品のリアリティを高品質に保っています。

感動の押し付けに食傷気味な貴方へ、さりげない人生の真実は如何でしょう?

★★★ Excellent!!!

 共通のプロットから、たくさんの作者様が思い思いの物語を書く企画「筆致は物語を超えるか」に参加されてる作品です。

 同じプロットを元にしているのですが、参加作は多種多様。この物語は「自然体」を感じる作品です。
 物語の起伏は少ないかもしれません。ただ、その少ない起伏の中、これだけ「読ませる」物語を描ける作者様の力量は本物です。

 筆致にしてもまさに「自然体」であり、小難しかったり高尚すぎたりな言葉は出てきません。しかし、いやだからこそ、味わい深い。素朴な素晴らしさをまさに体現した「自然体」の作品を、ぜひご賞味あれ!

★★★ Excellent!!!

成長と環境の変化とともに、幼馴染との関係が変わっていきます。
幼馴染の存在は思い出として主人公視点で語られるのですが……

幼馴染について、主人公が当時抱いた感情をまじえて語る演出がとってもイイです!
飾りたてない赤裸々な吐露。目の前に主人公がいてはなしているかのようでした。
人間らしさを感じられる清濁併せ吞む小説が読みたい人におススメ!

短編なので、隙間時間に読めます。