人が成長するということは、どんな事か。
この小説は非常に分かり易くそれを伝えてくれます。
いつまでも無邪気な子どものままではいられない?
それはそうですが、重ねてきた齢の分だけ人は賢くなってもいるはず。
隣の芝生は青く見える。
人には人の事情があるもの。
過去は変えられないが、未来は変えられる。
そして、成長して賢くなったのは決して自分だけではないってことも。
美しい思い出に浸るだけでなく、そうした世の中のコトワリというものを「直接説明せずして」表現しているのは素晴らしい技法です。
この作品に「劇的なイベント」は含まれていませんが、それが逆に作品のリアリティを高品質に保っています。
感動の押し付けに食傷気味な貴方へ、さりげない人生の真実は如何でしょう?