第41話 お泊り

「お邪魔します」

「はいはい」


2人は、それぞれの親に確認をし、許しを得たため神門の家に泊まる事が決まった。

一度、霧崎は家に帰り、着替えと荷物を持って、神門の家に来た。


「お母さんは、まだいらっしゃらないのですか?」

「ああ、もうじき帰って来ると思うけど」

「そうですか」


霧崎と神門母は、何度も話をしたことがあり仲がかなり良くなっていた。


「お父さんは、単身赴任中なんですよね」

「まあな」

「お母さんと先輩は、一緒について行かなかったんですね」

「うん、俺も母さんも面倒くさいって言って」

「先輩ってお母さん似だったんですね」

「かもな」


2人は、神門の部屋に入り、ソファに並んで座る。


「というか、今更ですけど無理言ってすみません」

「本当に今更だな」

「なんかとんとん拍子で逆に申し訳なくなってきて」

「お前に申し訳ないという気持ちがある事に驚きだよ」

「えぇ~」


神門は、霧崎の態度に遠い目をする。


「というか、お前どこで寝るんだ?」

「先輩の部屋ですけど?」

「そんな当たり前でしょみたいな感じになられても」

「だって当たり前ですから」

「あっそう」

「添い寝しますから」

「分かったから。ベッドで寝ろ。俺はソファーで寝るから」

「先輩もベッドで寝てください」

「もって事は?」

「僕もベッドで寝ます」

「馬鹿なのか」

「先輩よりかはマシです」

「狭いだろ」

「他に気にするところがあるはずなんですけどね」


結局、答えは出ないまま2人はリビングに向かった。

すると、夕食を作っている神門母が居た。


「煉、食器出すの手伝って。それに、悠那ちゃんいらっしゃい」

「はいはい」

「お邪魔します。ご迷惑をお掛けしてすみません」

「良いよ良いよ。煉の初めての彼女で、よくしてる後輩ちゃんなんだから。私もゆっくりと話したいしね」

「はいっ、ありがとうございます」


霧崎と神門母がこうして話している間、神門煉はせっせと夕食の用意をしていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夕食を食べ終え、片づけを済まし、神門は入浴していた。


「ふぁぁぁぁ」


あくびをしながら、お風呂でくつろぐ。


「あいつは、何をしたいんだよ…」


神門は、1人呟く。


「せんぱーい」

「あ?」


浴室の扉の向こうで、霧崎の声がする。


「失礼しまーす」

「はっ?」


『ガララッ』


霧崎が浴室に入って来る。

その姿は、スポーティーな水着姿で上はフリルはついたビキニで、下はショートパンツのような上下黒の水着だった。


「お前何やってんだっ…!!」

「先輩と一緒に入りたくて」

「母さんは!?」

「仲睦ましいねって」

「馬鹿なのかっ」

「それで、身体とか洗っちゃいましたよね?」

「当たり前だ!」


神門は、今起きている状況を上手く呑み込もうとしていた。

だが、まだ追いつけていなかった。


「というか、この水着似合ってますか?」

「知るかよ」

「先輩」

「似合ってるよ!」

「ありがとうございます」

「ったく…」


神門は、霧崎の様子に呆れていた。


「これ先輩も使ってるシャンプーですか?」

「そうだよ…」

「では、私も失礼して」

「勝手にしろ…」

「ありがとうございます」


霧崎は、神門も使っているシャンプーを使い泡立てる。


「良い匂いですね」

「ああそう…」


それから、霧崎は頭と体を洗い終え、神門の入っている浴槽へと足を踏み入れる。


「温かいですね」

「ああ、そう」

「先輩って程よく鍛えているようなって感じですけど、なんか華奢な身体してますよね」

「はいはい」

「というか、どうしてこっちを向かないのですか?」

「向けるかよ!」


今、神門は霧崎に背を向けるように浸かっていた。


「先輩」

「あ?」

「こっち向いてください」

「無理」

「どうして?」

「お前は、そんなに向いて欲しいのかよ」

「もちろんです」

「どういうことだよ」


結局、神門は霧崎に背を向けたまま、お風呂を上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生意気な後輩が嫁になりたがっている。 MiYu @MiYu517

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ