第40話 新たな春
春。
桜が咲き誇り、また新たな春を迎える。
「ぐすっ…暖かいなぁ」
「煉…。花粉症なら窓を閉めろ」
「そうする」
新学期となり、3年生となった神門たちは、今日も部活だった。
練習着に着替えた後、神門は窓を開けて外を眺めていた。
しかし、神門は花粉症持ちで、鼻水もだが、目が赤くなることが多い。
「あぁ…。年々、花粉って酷くなってないか?」
「俺は、花粉症持ちじゃないから分からんけど」
「鼻水よりも目がかゆくなるのが辛い」
「目薬とか持ち歩いてないのか?」
「持ち歩いてるよ」
「それでもなのか?」
「それでもなんだよ」
神門は、練習を始まる前に目薬を使い、コートに向かった。
「せんぱーい」
「悠那か」
「はい、愛しの悠那ですよ」
「はいはい。それで、どうしたんだ?」
「結婚式あげるなら春が良いですか?」
「何の話?」
霧崎が入部したころのショートヘアの面影はなく、神門と同じような髪型をしていた。
それでいて、ボーイッシュな雰囲気を感じさせる、そんな女の子となっていた。
「先輩、今年の部活動紹介は、どんなことするんですか?」
「あー、決めてない」
「無茶は駄目ですからね?」
「はいはい」
「本当に分かってるんですか」
それから練習が始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あぁ、疲れた~」
「そうですね~」
部活を終え、帰宅する2人。
「明日、オフだな」
「そうですね~」
「明日、時間あるか?」
「ありますけど、どうかしたんですか?」
「腰のサポーター買いたいから、一緒に行かね?」
「先輩から誘ってくれるの珍しいですね。もちろん、行きますよ」
「そうか、よかった」
2人は、デートすることはあるのだが、基本的に霧崎から誘う事が多い。
神門から、誘わないわけではないのだが、稀だ。
「というか、腰のサポーターって、まだ痛むんですか?」
「まあな」
「それってドクターストップを無視して、早めに試合に出たからじゃないですか」
「さあな」
「それしかないでしょ」
「そんな1,2週間で変わるかよ」
「変わるでしょ」
神門の心配をする霧崎。
「全く…。先輩は僕が居ないと何にも出来ないですよね」
「いや、出来るけど」
「そんな強がらなくて良いんですよ。先輩には僕が必要なんです」
「強がってないんだよなぁ」
「もう、先輩は僕が貰ってあげます」
「はいはい」
「先輩」
「あ?」
「私、先輩のことが好きで好きでたまらないんです」
「それは、どうも」
霧崎は、真っすぐと自分の想いを神門にぶつける。
「先輩」
「ん?」
「今日、お母さん帰って来ないんですよ」
「うん」
「寂しいです」
「うん」
「先輩、来てください」
「は?」
「泊まりに来てください」
「流石に無理だろ」
「じゃあ、先輩の家に泊まらせてください」
「何でだよ」
「先輩の両親が許さない感じですか?。それとも僕の母の心配?」
「両方」
「それなら、聞いてみてくださいよー」
「お前のお母さんはどうやって?」
「それは、流石に僕が聞きますよ」
「あっ、そう」
神門は、スマホを取り出し、母親に連絡をする。
すると、すぐに既読が付き、返信が来た。
『良いよ!!』
「良いみたい」
「お優しい人ですね」
「それで、お前の方は?」
「えっと、待ってくださいね」
霧崎は、スマホを確認する。
すると、霧崎母からのメッセージが来ていた。
『神門君がいてくれるなら安心かな』
「良いみたいです」
「マジかよ…」
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