第39話 ホワイトデー

「先輩、今日は何の日か知ってます?」

「知らん」

「もっと興味持ってくださいよ~」

「じゃあもっと興味を持たせられるようになれ」


神門と霧崎は、部活を終え、2人で帰っているところだった。

周囲は、桜が開花し始め、春の気配を感じさせる時期となった。


「3月14日ですよ?。先月何がありました?」

「俺がお前にカップケーキをあげた日だな」

「そうです!!。また、作ってください!!」

「それが本題か?」

「いえ、これが本題です」


霧崎は、鞄からラッピングされた箱を取り出す。


「この前のお返しです」

「ありがとうな」

「はいっ、頑張って作りました」

「そうか」


3月14日、ホワイトデー。

霧崎は、先月のバレンタインデーのお返しを神門に渡した。


「麻友にも渡しました?」

「一応な」

「なんか、そういう所マメですよね」

「普通のことじゃねぇのか?」

「そうかもですけど。先輩なら、面倒とかであげなさそうに思ってたので」

「まあ、面倒だな」

「それでも、渡すところが凄いと思いますよ」

「ああ、そう」


神門も、バレンタインデーの時に廣瀬麻友から受け取っていたので、お返しをしていた。


「麻友には何を渡しました?」

「チョコ」

「手作りですか?」

「一応」

「すご」

「お前も食べただろ」

「カップケーキは食べましたけど。麻友にはどんなのを?」

「クランチチョコ」

「先輩って料理出来る系の人ですか?」

「レシピ見ながらなら」

「それでも、手作りを渡そうとは思わないような…」

「買うより作った方が、安く済むからな」

「家庭的な理由だった!」

「ちゃんと衛生面も考えて、使い捨てのビニール手袋をして、エプロンに三角巾を着けて作ったぞ」

「調理実習の格好っ!」

「だって、こんだけ髪が長いからな。仕方ないだろ」

「それもそうですね!!」


共に帰る2人の雰囲気は賑やかなものだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「もう1年生が終わってしまいます」

「そうだな」

「早かったです」

「そうだな」

「充実してて、楽しかったです」

「そうだな」

「先輩のおかげですよ」

「そうだな」

「って、聞いてます?」

「聞いてるよ」


2人は、神門の部屋にてくつろいでいた。

神門は、漫画を読み、霧崎は、小説を呼んでいた。


「煉」

「あ?」

「僕と付き合ってくれてありがとうございます」

「別れ話か?」

「いえ、むしろこれからもよろしくお願いします」

「おう」

「好きです煉」

「俺もだよ」

「ちゃんと先輩も口にしてください」

「分かったよ…。好きだ悠那」

「はい!!」

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