第284話 異世界転生はちょっと寂しい―創作論


 Q. 短編賞創作フェスの良いネタが思いつかないんですけど、どうすればいいですか?

 A. 何のためにこのエッセイ書いてるの?


 という脳内質疑応答がありまして。

 新ネタが出てこない時こそ、ストックネタの使いどころですよね。

 そういうわけで、転生許可証ネタをサルベージして書いてみることに決定。


 『第121話 異世界転生前に、許可証申請をお忘れなく』

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655235177535/episodes/16817330661075768985


 許可申請に来るのを女子高生としてネタを温め直していると、ちょっと寂しくなってしまって。


 私も十代前半からオタクをやってきてますから、「異世界に行った自分」の活躍を想像してニヤニヤするなんてのはよくやっていたわけですが、それは時流的にも異世界転生ではなく異世界転移だったのですね。


 異世界転移はある意味旅行のようなもの。

 帰る方法が難しいことが多いのですが、その方法を探すこと自体が物語の軸になる事も多く。

 実行するかどうかはともかく、転移したキャラクターたちはどこかで「元の世界に帰る」ことを意識します。


 異世界転生だと、仮に元の世界に帰ったとしても、その世界では既に亡くなってしまってるわけで、ね。

 一部に帰ってきた後の話とかもあったりしますが、帰ること自体を考えもしない作品も多い。

 あえて異世界転移ではなく異世界転生を選ぶというのは、つまりこの世界で生きていたくないのだという意識があるのかなと。


 そういう作品が支持されるこの社会の状態が~~みたいな社会批判は、それが好きな方にお任せするとして。

 事故で異世界に行くタイプではなく、あらかじめ準備をするというネタで書く今回は、この世界から去ってしまう転生でなく、帰る可能性を残した転移にしておきたいなと。


 でも転生ベースで考えていた描写なども、あえて残す方針。

 片道切符でいいとやって来た子にあえて帰りの切符も握らせる、そんなお節介な神々のシステムだということで。 システムの略称にかつての転生鉄板ネタであるトラックを入れてしまったのもありますが(笑)


 というわけで出来上がったのがこちら。


『異世界ライフスタート! の前に許可証申請はお済ですか?』

https://kakuyomu.jp/works/16817330669762207995/episodes/16817330669762245609

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