転生前に嗜んだRPGと同じシチュエーション世界に転生したと自覚した主人公が、その転生時期が、ゲーム開始10年前であると認識すると、ゲーム開始の10年の間にゲーム通りの人生を歩まなければ現王国を傾国に導いた大罪人にならないのではとの思いから、現実世界では、無位無官でありながらも誠実に、謙虚に、決して目立たないことに意識して、自身や家族の為と思いながらも、結果自国に良い方に行動していく奮闘ぶりに面白味を感じます。その過程として、ゲームでは敵対キャラを現実世界では良好な関係が結べたりとか、ゲームでは義妹が、その美貌のせいで国王から異常ともとれる寵愛が傾国の一端となった為に、現実世界では義妹の後宮入りそのものを懸念し、義妹には不用意な高位な者との接触を避ける様に助言したりとか。兎に角、主人公が感じている、ゲームと現実とのギャップの妙に読んでいて引き込まれます。
敢えて読んでいて違和感を覚えるのが、主人公の一人称である『俺』です。言動や思考は先に挙げた通り、俗に言う良い少年のイメージであるから、何故『僕』にしなかったのかが疑問です。
追伸、この作品の書籍化の表紙絵が気になります。登場人物が、どれほど眉目秀麗・容姿端麗に描かれるのか。
ナーロッパが多い現状、こういう中華系設定の異世界ものは貴重でいいですね。
展開としては、ゲーム設定らしき世界観に主人公が転生して、ちょこちょこゲーム知識を使いつつヒロインをデレデレにしていく流れ。
デレる理由もしっかりそれぞれあるし、ヒロインのキャラも個性豊か。
主人公やヒロインが強くなる少しエッチな独自設定とかもお気に召すかと。
あとは個人的に、大事な場面での決め台詞がまるで覇気を感じるような心を揺さぶられる文章で好きです。
web小説漁ってる人ならわかると思いますが、明らかに文才があるタイプなので、好みが合うなら間違いなく楽しめると思います。