第59話 最悪のエピローグ


「え……それって」


「その後の言葉は分かるだろ君にも……先程週刊誌に上げられ、」それがニュースで報道されて、今、SNSであらゆるところにそれが拡散されている」


「……」


 覚悟はしていたが、それを上回る状況に、俺は思考が停止する。

 俺といちごがホテルに行ったのを盗撮されていた……?


 ライブ会場から付けられてたってことなのか。いやでも、コンビニで降りた時にはそれらしき車も見当たらなかった。

 そもそもいちごは変装していたし、車も目立たない。なのになんで付けられているんだ……


 コンビニから……いや、考えても分かるわけがない。


「話を続けていいかい……?」


「は、はい」


 青木さんの声で、ハッと目が覚める。


「ホテルに入る所だけじゃないんだ……拡散されているのは」


「他になにかあるんですか……?」


「出るところも写真に撮られてるし、どこから漏れたか知らないけどネットになんか楽しそうに学校で話す2人の動画も拡散されてる」


「……学校での動画……?」


 最近、学校でいちごを含める4人で行動することが多くなった。その時に、俺といちごが喋っているところを誰かに撮られたのか。

 盗撮したであろう人物は腐るほどいる。俺達をひがむやつは学校にこれでもかと溢れているからな。


「とりあえず、また連絡する」


「青木さんちょ――」


 言いかけると、すぐに電話は切れてしまった。

 スマホ置きいちごを見ると、まだ現実を受け止めきれずに呼吸を乱している。


「ちょっと待ってろ!」


 いちごにそう言うと、リビングに向かい自分のスマホを開く。

 とりあえず、今どんな状況なのかを確認しなければならない。

 ありとあらゆるSNSを開き、『ふるーつぽんち☆』と検索を掛ける。


 急上昇に上がっている言葉に、俺は息を呑む。


『天野いちご ホテル』『天野いちご 熱愛』『天野いちご 援交』『天野いちご 彼氏』『ふるーつぽんち☆ 解散』


 関連づけられて画面に映されたものは、俺といちごが手を繋ぎながらホテルに入っていく後ろ姿の写真。


 学校で俺と笑顔で話すいちごの動画。

 絶好調である『ふるーつぽんち☆』天野いちごに絶対にあってはならないものであった。


 これから目まぐるしくも楽しい生活が待ってる最高のエピローグで終わり、新たな生活が幕を開けようとした矢先、最悪のエピローグが流れ、新章は炎上から幕を開けた。


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国民的美少女アイドルに俺の性生活は支配されている もんすたー @monsteramuamu

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