𝟞『頼み事』

――共同生活2日目


私は今、お昼を食べて満足したところだ。


「はー美味しかった」


翔香は私を見てびっくりしている。


「すごい食べたね…」


「だって美味しいんだもん!」


私が食べたのはただの肉じゃがだったのだが、ほくほくでとても美味しかったのだ。


「ごちそうさま!あー食った食った」


「お粗末様です」


私は食器を片付けるため立ち上がると台所に向かった。

片づけ終わり、私から話をし始めた。


「あれ、そういや真都…さん?は、食べ終わるなりどこ行ったの?」


あぁ、とでもいうかのように口を開いて翔香が頷いていた。


「真都はいま洗面所で色々としてるぞ」


と翔香が言い終えたタイミングで真都が洗面所から出てきた。


「ふぅ……すっきりした」


真都の顔を見るとやはりイケメンである。しかし目の下にクマがあり、疲れているように見える。


「翔香…余計なことは言ってないよな?」


「勿論だとも!」


「ならいいけど……」


どうやら何かあるらしい。

でも、流石に聞くのは失礼だろと感じ、聞くことは諦めた。

代わりと言っては違うが、もう一つの疑問を質問することにした。


「そういえば、なんで顔とかいろいろ整えてるんですか?なんかそういう心境の変化ですか…………?」


聞いてみた瞬間に真都がは?と言わんばかりにこちらを凝視してくる。その視線には呆れが混じっているように感じた。


「翔香、お前何も説明してないな??」


「あちゃ~やっちゃった……テヘッ」


琴線に触れたのか、非常にキレた。


「お~ま~え~な~!!!!」


真都がキレつつ翔香の頬をグイグイと引っ張っている。

翔香の頬よく伸びるな~。

じゃなくて、何のことだろうか。


「あひゃへぇほぉ(訳:ちょっと待って)」


「うるさい黙れ」


「ひょっほはふぃふぁふぁひゅはへんは!!(訳:ちょっと痛いんだけど!!)」


「何を言っているのか分からない」


「ほぉーふぁふぉ!(訳:そっちこそ!)」


「なんだって?」


「ほぉーふぁふぉ!(訳:そっちこそ!)」


「だから何を言っているのか分からn―――――」


「んもー!!いいから私に話してよ!!」

2人の会話を遮るように、叫ぶように言った。

「わ、悪い……」


「ごめんね……」


「全くもう……」


そんなこんなでやっとこさ聞けた話はこうだ。

まず真都は元々、美少年系の容姿をしているそうだ。

まぁ、今はそんな話はどうでもよいのだ。

今日は喫茶店に行くようだ。

そのためだけに真都は張り切って準備をしているようだ。

それを聞いた私もせっせと準備をした。

―――――

皆準備が終わり、その喫茶店へと行く。

ノコノコと店に入った途端、


「確か約束ではあそこだったかな…」


約束というのは知らないが、とりあえずついていく。

翔香が向かった先は…………窓側の席だった。

窓側の席には誰かが座っていた。

窓の外を眺めていたようだ。私たちに気づくなり、


「あぁ、こんにちは。今日は天気がいいね」


と言ってきたので、


「こんにちは。」


と返した。その男の人は顔が青白かった。

そして目の下にはクマが多い。しかし顔立ちは良く、まるでモデルのようだった。

そんな彼は私たちが来てからずっとこちらを見ている。


「今日は来てくれてありがとう千隼。君の助けが必要なんだ。」


彼の名前は千隼というようだ。女の子のような名前で可愛いと思ってしまった。


「招待に感謝はするけど、君はいつもそうだ。助けが必要なときは何かを前置きして伝えてくる。」


それを聞くなり、翔香は照れているのだろうか。頭を搔いている。


「えへへ...だって…………千隼はそうしないと来ないでしょ?」


少しばかり、この場が冷たくなった気がした。


「まあいい、本題に入る前に君たちも何か頼みたまえ。えーっと…………」


えーっと...と言いつつ私を見ているので私の名前が知りたいのかと悟り、


「あっiceです。紹介しないでこの場にいるのは失礼でしたよね。ごめんなさい。」


と彼に伝えた。

その後は千隼以外がメニューに目を通し、定員を呼ぶ。


「ご注文はお決まりでしょうか。」


「あ、えっと私はクリームソーダでお願いします。」


「私はアイスコーヒーで!」


「俺はホットのブラックで。」


「私はミルクティーで。」


「かしこまりました。」


定員さんは注文を繰り返し、去っていった。


「それで、今回私を呼んだ理由を聞かせてもらおうか。」


その時、翔香と真都が息をのんだ。


―――――――つづく

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𝑑𝑜𝑟𝑚𝑖𝑟 𝑎𝑢 𝑝𝑎𝑦𝑠 𝑑𝑒𝑠 𝑓é𝑒𝑠 おとぎの国の眠り ice・ソレイユ @soreiyu_ice27

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