神々に仕える一族久遠寺家の跡取り匠、その双子の妹暁は、魔道の力を持って産まれた。相容れない魔道の力を持つ暁を神々は、力をどのように使えばいいのかを学ぶようにと、住み慣れた土地から離れることを命じる。
こうして暁は、お付きの狸おまつとともに、ニューヨークの名門魔法学校へ留学することになる――初めての地で暁はとまどいと苦悩、挫折を体験し、魔法の理、自分の持つ力の意味を学んでいく。
神々の力、魔法――そんなワードを基盤に物語は展開されていくが、これはまごれもない、暁の成長譚だ、それも、とびっきり上質の。
生まれ持ってきたものに縛られ、でも自分を構成しているものから逃れることができず、それでも新たに直面するものに真摯に向き合う暁の健気さ、強さ。
読者は共感する以上に、彼女の成長を見守りたい気持ちとなるでしょう。
心に響く作品だ。