第11話

純神側と邪神側との戦いが

始まりを告げようとしていた


「っ‥邪神キノとキノに集いし者達よ!

私こそが世界を正しく司る純神ナーラ

死にたくなければ降伏しなさい」


「それはコチラの台詞だ

奪われたくなければ逃げるが良い」


「ふざけないでっ!

皆さん!!戦闘開始です」


「‥行くぞ‥開幕だ」


向こうは話し合いでの解決を‥と考えたんだろうが

無駄な理由で戦う事を決めた訳じゃない


戦う事でしか決着がつかないと知ってるからだ


俺は眼鏡を外した状態で

ナーラ側で戦う人達を俺のサポーターで

天賦ノ力により銃の姿の司で撃ち抜いていく


(‥次は5秒後に300m先の左‥続けて右正面)


「了解」


司に指示された通りに撃ち抜いて

確実に相手側の人数を減らしていく


(‥600m先の左正面付近で新堂とナーラが

ナーラが彼の近くに居て離れないと殺せない)


「‥それが狙いなんだろう

俺がって知ってるからな

まぁ良い‥ナーラはキノに任せて

数を減らして奴の所に向かいたい」


(………はぁ‥分かったよ優

彼の近くまでの最短距離を把握してる

このまま進んで敵は

正面、左、正面、右の順番だ)


「了解‥確実に射抜く」


建物の屋根上を走りながら

司の指示した通りに敵を殺していく


数分もしないうちに龍鬼が居る場所にまで来ていた


(彼がナーラの側から移動

こちらに来るようだ‥引き寄せるなら

此処で待つのが得策だ)


「分かった‥ありがとう司」


そう告げて指を鳴らして司を武器の姿から戻した


しばらく待っていると龍鬼が俺達の所にと来て


「…本当に‥裏切ってたのか‥優哉」


龍鬼は俺に問いかけるように尋ねた


俺と司がタッグ状態ではなかったからか


それとも裏切っていた事を信じていないのか


分からないけれど‥


「ああ‥そうだ」


俺は彼に本音いしを告げる


「兄弟だと思ってたのに‥なんでだよっ!」


「‥思い出したんだ‥でも‥

だろ?」


「知ってる‥この世界は繰り返されているんだろ?

なら‥なんで邪神の側にいるんだよ!」


「‥そう俺に尋ねる時点で

‥龍鬼

‥俺は俺の正義のために此処に居る

君達の司令塔かみさまを殺されたくなければ俺達を倒せ

‥君のタッグとなった天宮が近くに居るんだろ?」


「……居る‥だが‥俺は‥お前を‥殺したくない」


「ふざけるなっ!‥俺達は敵だ

分かっているのか?」


「分かってるんだよ‥そんな事はっ!」


「司」


「‥ああ」


俺は司の手を取りタッグ状態になる


「この状態でも殺さないって言うなら

お前が死ぬ方が良い‥これで分かっただろう?

俺達は敵だ‥早く武器を持て‥次の警告はない」


そう脅すように新堂に向けて銃を向けると

近くに潜んでいた天宮が慌てた様子で出て来て


「新堂っ!早くタッグになるぞ

アイツらとの交渉は決裂したんだ!!」


「ふざけるなっ!!

まだ‥まだ‥もう一度でいいから」


俺は天宮に当たらないギリギリを確実に撃つ


「これで分かっただろう?

大切なのを失いたくないなら戦う事だ

もしくは‥勝利で分からせる事だと

‥そう教わっただろう‥?」


「新堂っ!」


「チクショウっ!」


天宮と龍鬼がタッグ状態となり

龍鬼は刀の形にと変化する


「…さてと‥司‥いけるよな?」


(不本意だけどね‥分かってるよ)


「そうか‥安心したよ」


ーー俺達は1人の正直者達ヒーローと戦った


結末も勝敗の結果すら既に分かっていたからこそ

なにも思わないし感じない


「‥さてと‥早くキノの所に行こう

手加減したんだ‥安心してよ2人とも」


地面に倒れた2人を置いて俺と司は

ナーラの所にと向かう


俺達がナーラ達の所に行くと戦いが拮抗していた


どちらも優れた神であるからこそ

決着は長引くものだ


「司‥どちらが勝つか分かるか?」


(‥分からない)


「司でもなら手助けするしかないけど

あの状態に手を貸すのは自殺行為だよな」


激しく隙のない戦いだからこそ

手を出せば自分達が死んでしまうだろう


(見守るしかない‥優‥タッグの解除を)


「手を貸すのも無理だもんな」


そう呟きながら俺は指を鳴らし司を元の姿に戻した


「私がすらできない戦いだ

今度こそ‥君の願いが叶うといいな」


「‥そうだな」


俺達がナーラとキノの激しい戦いを見ていた


ーーーその時だった


「っ!優っ!危ない!!」


司に身体を押されて地面に倒れる


赤い血が俺の身体を汚す


俺を庇うようにした司


血は司から溢れ出す


ーーウソだ


嫌だ‥嘘だ‥嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


ナーラはキノとの戦いの最中で俺を狙ったんだ


それに

司が俺を庇ったんだと理解してしまった


「司っ!司っ!!」


泣きそうになりながら俺は司に駆け寄る


「‥優‥まだ‥だ」


ずっと側に居たから彼の言葉の意味が分かる


ナーラは再び俺を狙っている、と伝えたいんだと


「‥‥お前っ‥お前だけは許せないっ!!」


俺は感情のままにナーラの元に行こうとして


誰かが俺の手を取り武器となる


を俺は知ってる


先程まで奴だから


俺は嬉しさからか少し微笑みながら

ナーラを確実に殺して指を弾いてならして彼を元に戻してから

再び司の元に向かう


安心したように司は眠りながらも笑っていた


司の周辺は既に血で溢れていた


もう助からないんだと‥そう分かったからこそ


俺の目からは涙が溢れ出す


「‥司‥司っ‥ごめんな‥」


"君が居ない世界で生きたくない"


そう大量の魔力で祈る


"願う"


[もう一度、やりなす]


それは神を殺した者の権利


願い


まさしく神の力を彼は使う


願いは光となり周囲は眠り始める


願う彼は大切な者を抱きしめながら


自らの魔力が尽きるまで


永遠に祈り願い続け死んだ


そうして何度も何度も世界は繰り返す


これは2人の少年達が


幸せを掴むまでの長い長い物語



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

TAG HERO riyo @kyato810

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ