第4話 滴水之恩 湧泉相報

「マスコミや政府による常識」に惑わされず、自分が自分をリードして(自主的に・主体性を持って)物事を見・自分の頭で考え、自分の意志で行動する。

中国には「自分で自分をリードできる主体性のある人間」が多いようです。

人は誰しも「場の空気」を読み、相手の心を慮(おもんぱか)る(心情を考慮する)ことが大切ではありますが、あくまでも自分・自己をしっかりと把握した上での対人関係・協調であるべきです。

ところが日本人は、子供の時から政府やマスコミによる「自己を捨て、滅私奉公優先」という教育やプロパガンダ(宣伝・洗脳)に浸りきっているので、「自分の頭で考えて行動する」ということに対して罪悪感(自分勝手と言われる・和を乱すことになるのではないかと悩む)を持つように仕向けられています。

ですから、善行を行うことでさえ、人の目を気にする。町内会だの役所だの警察だの弁護士だの広告代理店だのといった「権威」によるお墨付きがないと、道でケガをしたお年寄り一人、とっさに抱えて起こしてあげられない。

なにしろ、日本という国は「小学生の女の子に道を尋ねた怪しい男性という事案が発生」なんて、警察がパトカーで言って回る、というバカさ加減。

日本では急速に「自分の頭で考えないこと」が生活習慣になりつつあるので、何を食うべきか・なにを考え・なにをやるべきか等々、朝から晩まで「権威」に決められた通りにしか考えることができない・行動できない。

40年前、私は大学のゼミで「現代の大学生は自分の頭で考えずに、主に週刊誌の記事の内容を自分の意見にしている」という仮説を立て、それを実証する為に100人にアンケート調査を行う、という「社会調査」を実施しました。

 毎日読む新聞ではなく、1,000円程度の本を買ってじっくり読むでもなし。当時200円くらいの週刊誌を電車の中でサッと読んで、そこに書かれたライターたちの言説をそのまま自分の意見にして仲間と話す、というのがこの仮説のみそ(ポイント)でした。

鵜飼いの鵜が、加えた魚をそのまま吐き出すようなものですから、自分の言ったことなどすぐ忘れてしまう。そして、翌週になれば、また週刊誌という魚を飲み込んで、友人たちとの意見交換で吐き出す。

今にして思えば、結構いい視点だったのではないか、なんて思います。

○ 中国式リーダー(自分で自分をリードする)

広大な中国をトラックで駆け回る女性ドライバー・謝琳さん

http://j.people.com.cn/n3/2023/0315/c94475-10222593.html

人民網日本語版 2023年03月15日10:47

自分が個人的に受けた恩を、公共の利益として社会に恩返しする精神。

<引用開始>

  ・・・2016年、トラックが故障してしまい5、6日ほど身動きが取れなくなってしまった謝さんは、水も食べる物もなくなってしまい、夜になるとオオカミの声まで聞こえてきたという。しかし幸運にも武漢市から来たバイクのグループに出会い、ライダーたち全員がコップ1杯ずつの水を彼女に分けてくれたのだという。その「恩人」たちをその後見つけることができなかった謝さんだったが、

「一滴の水のような恩にも、湧き出る泉のような大きさでこれに報いるべし。滴水之恩 湧泉相報」

という中国の諺に従い、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われた武漢市を支援した。


2020年1月から4月にかけて、謝さんは一人でトラックを運転して、湖北省武漢市に28回にわたり緊急物資を届けた。そして、その後も上海市や新疆維吾爾自治区といった地域に医療物資を届けた。「これは運転手の責任であるだけでなく、恩返しでもある。」と謝さんは・・・

<引用終わり>

○  リーダーは本当に大切な真実を見(て行動す)る

中国では「一般の民間人を国会(市議会)に呼んで、意見を言ってもらう・法整備に協力してもらう」という制度があるようです。民間人の中から、地元民の推薦を受けた人が人民代表大会に招聘され、そこで様々な意見を述べたり要望を国家に伝える。

謝さんも、そんな代表に選ばれたのですが、大会が自分の運送業務と重なるという難問にぶち当たりました。

しかし、「仲間と交代で5,000キロ(東京大阪間が約500キロ。プロのバス・ドライバーが約8時間かけて走る、その10倍の距離です。)の道のりを必死で走り、綿の布を荷主の元にきっちりと送り届け、謝さんは休む暇もなく会議の為の準備に取りかかった」。

そして、トラック仲間が少しでも幸せに過ごせることを願う謝さんは、トラックの運転手として、安徽省第14期人民代表大会に出席し「高速道路のサービスエリアにシャワーや仮眠室のある施設を作ってほしいという意見を提出した」のでした。

自分個人の為ではなく、仲間のドライバーたちの為だけでもない。サービスエリアの施設の充実によって、全国の物流がよりスムーズに行われるという、国家規模でのメリット(社会的真理)について話をしているのです。

こういった、現実に汗水流して必死に働く人間の智恵や提言が、中国という国家の政策となることで「一帯一路」という世界規模の物流という視点となって世界に提案され、中国というリーダーが中心となって地球を良くして(活性化させて)いく。

(スクラップ・アンド・ビルドという、とにかく戦争や災害を作りだして金を使わせ、借金をさせることで世界をコントロールしようという国際金融資本家のやり方に、どう考えてみても、大きく勝ります。)

2023年4月1日

V.2.1

平栗雅人

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V.2.1 リーダーとはなにか・中国編 @MasatoHiraguri

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