第119話 迫り来るもの


俺の事を秀と呼ぶ、彼女…聖女ジャンヌに警戒レベルを上げる、ゼシアも有希を守る為か庇う様に立つ


「…それも予言でしょうか?」


「あら?アンゼリカ様、何も話してはいないの?」


「えぇまぁ、アーク様、大丈夫です…覚えていますか?学園に入学当初、私がアーク様の事をシュウ様とお呼びした事を」


そう言えば、アンは当時は俺の前世の力が目当てだった様な


「実は幼い頃にこの国に訪れた時歳も近いという事で、ジャンヌ様と遊んだ事がありました、その時に彼女にある予言を賜ったのです」


「いずれ、貴方達姉弟に光が産まれ変わった勇者によってもたらされるでしょう、その者は魔法師と魔剣士の子、銀髪の紅い目をしている彼によって」


「…それが俺だと?」


「帝国には貴方の両親ほどの夫婦はいないわ、そもそも、あの国に女魔法師がいないからね、となると他国1番近いのは隣の魔法国で師団長、騎士団長の息子とくればほぼ間違いない、髪も目も神託の通りだったしね」


「なるほど、それでアンは俺の前世を知っていたのか」


「はい、今まで黙っていて申し訳ありません」


「俺が言わなくていいって言ったんだ気にするなよ…それで、貴方は俺に何の様なのですか?態々、この国に呼びつけてまで…」


「ふふ、私はこの国では聖女とされている、それは教皇である父が聖女として宣言したから、でも、実際は私には特別な力があるだけ、未来を見る力が、それを神託として民達に伝える…そして、その未来が訪れると民衆は私を聖女だと信じるわけ、それが私が他国にまで聖女と崇められる理由よ」


「確かに父は私の事を溺愛している、最近は本当に鬱陶しいくらいに…それでも私は父が好きだし、教皇として立派にこの国を治めている、小さい頃に未来が見える事を話したら神託を授かったって思ったみたいでね、それで私を聖女としたのよ」


「神に会ったわけでも声を聞いたわけでもないのにね」


「…未来予知の力…なるほど、知らない相手からは正に神託だな、それを俺達に話す理由はなんだ?厄介ごとの予感がするんだが…」


「私の予知は私の意思で自由に、視ているわけではないわ、突然視えるのよ、信心深い人なら本当に神託かと思ったかもね…それで半年ほど前に視た未来に貴方方がいました」


「俺達が?…それが俺だけではなく、彼女達も読んだ理由?」


「えぇ、そうよ…今から一週間後、この聖都は炎に包まれる、燃える家、灰になる人々…私が視たこの国の未来…それは、滅亡よ」


「「「「!!??」」」」


「そ、そんな!?」


「確かなのか?」


「えぇ、でも理由はわからないわ、予知はその時に起こる光景を映し出すだけだから、私が視たのは燃える聖都に貴方達4人…私に出来ることは貴方方に頼るほかないの」


「どうすれば回避出来るかもわからないんですか?」


「無理ね、今まで予知が外れたことはないわ」


「お願い、勇者シュウ…この国を救ってもらえませんか?」

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転移した世界に転生する うめとう @YUDAI3430

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