実は私はケルト神話には明るくありません。でもとても楽しかったです!
登場人物たちが愛すべき資質を持っていて、それぞれに感情移入して読み進めることができます。
人の子を食べた罪で神界裁判にかけられる女神ケリドウェンは、一見、人の子をこき使う意地悪な神さまに思えるけれど……。
それに、醜怪な息子アヴァグドゥも、すごく嫌な奴に思えるけれど、彼にも抱えている気持ちがあって……。
など、人物描写も大切にされています。
初っ端に登場する騎士とヒーラーのお二人も、イイ味出してくれますよ!
ちょっぴり童話のような雰囲気があって、レイアウト的に面白い擬音の使い方があって、それがまたお話の雰囲気に合っています。
途中からは先が気になってペースが上がること必至です!
更に元ネタとしてケルト神話のお話が添えられており、後から、ああそういうこと!と勉強になります。
そうそう、後日談もお薦めしたい!
時にほろりとさせられ、笑わせられ、実に爽やかな締め方となっております。
ケルト神話がお好きな方にも、そうでない方にも、お薦めしたい作品です!
大釜を司る女神が忽然と消えた。大釜で作っていた魔薬をめぐり、逃げ出した少年を追っていった、というのが原因らしい。だが女神が戻らないまま9カ月。今度は女神の娘が姿を消した…。女神の城で何が起きたのか。そして二人組の冒険者の前に颯爽と現れた美女は何者か。二転三転する真相の行方。詳しい人なら要所でニヤリとしてしまう、ケルト神話から巧みに織り上げられた物語。神々の世界でこんなサスペンスってアリなのかと、引き込まれてしまう語りのスピード感。脳内で色鮮やかに映像化される、瑞々しい表現。神話の世界、冒険者の物語、息詰まるサスペンス、どれかひとつでも興味のある方にはオススメの1本。あまり長くないので、ちょっと時間をつくってイッキ読み推奨です。