エピローグ

 青年は、荷物を詰め込んだスーツケースを片手に街中を歩く。

 自宅に向かう。久しぶりだ。

 鍵を取り出し、中に入る。埃の匂いがした。スーツケースを下ろす。

 やはり天井が高いと開放感がある。

 あそこのアパートは息が詰まるかと思った。もちろん1ヶ月ほどの契約で借りていたものだったので、もう返してしまったけれど。

 帰宅前に冷房を入れるように設定しておいたので、中は涼しい。

 深呼吸をすると、ソファに座る。

 ウォレットの口座を確認する。ちなみに、あのサイトはもう削除した。ニュースにも取り上げてられてしまったようだし。まあ僕に被害はないだろうけど。

「え、なんで。」

 ウォレットに表示されたゼロの数字に目を疑う。騙し取られたのか?

 これは友人が開発したアプリだ。

 まさか。いやそんなはずは。


 お前が言ってたんじゃないか。信頼は使えるって。

 俺のだ。

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Worth 綾日燈花 @Tiramis

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