第2話 経緯
…
香澄side
「えっと、ここにこの方式を当てはめて、、、」
昔から、勉強は得意な方だったと思う。だけど優等生と呼ばれるほど自分に自信があるわけじゃない。本当は、本当はいつも怖い。優等生でない自分には、価値なんかないんじゃって思うと。いつか、みんな離れて行ってしまうんじゃないかと。だから、勉強しないと。自分に価値をつけるために。
「お姉ちゃん!これ見て!」
ドアを勢いよく叩き、扉を開けたのは妹である美里だった。
「わっ!どうしたの?美里。びっくりするじゃない。」
美里はいつも奇想天外で、突拍子もないことをする子だった。でもみんなを笑顔にできる、まるで太陽みたいな。そんな美里が、いつも羨ましかった。でも、今日はいつもよりテンションが高い気がする。どうしたんだろう?
「ごめんごめん!でもこれ見て?」
美里は自分のスマホを指差しながら、
「これ、学校の七不思議について書かれているんだけど、うちの学校のことじゃない?」
そのサイトには、「トイレの花子さん」「4時44分の鏡」など、よくある学校の怪談について書かれている。そういえば美里は怖い話とか好きだったな。よく「マジ怖話」って番組見てたっけ。
「よくある怪談じゃないの?」
私はあまり怪談には詳しくないけど、そんな私でも知ってるレベルのものが多い。
「違うよ!ここ見て!」
美里は、興奮した様子でスマホを突き出した。
スクロールされた画面には、「マコさん」と書かれていた。あれ?マコさんって、、、
「マコさんってうちの学校の噂にあるやつじゃない?」
どういうことだろう?だって、「マコさん」はうちの学校にしかない怪異だってクラスの子達が言ってた気がする。まさかうちの学校の誰かが作ったサイトってこと?でもなんでわざわざ、、、色々なことを考えていると、急に美里は凄い勢いで捲し立てた。
「やっぱりそうだよね!うわーすごいのみつけちゃった!?てことはここに書いてある呼び出し方も本当のことなのかな〜。どうしよう!明日やっちゃうかな?うーんやろうかな!」
どうしよう〜。と一人騒いでいる美里に私は声をかけた。
「ねえ、ちょっと落ち着いてよ。その、マコさんにお願いする時って、代償がいるんでしょ?よくわからないけど、あんまりやらない方がいいんじゃない?」
一応たしなめてはみたけど、今までの経験上美里にはあまり響く気がしない。
「お姉ちゃんは心配性だな〜。大丈夫!そこまで重い願いじゃないし、ちょっとなにかが欠けるぐらいで済むはず!」
軽く言いのける美里にちょっと腹が立った。大体、いつも美里は軽く考えすぎなんだ。それでも、いつも丸く収まっていたから何も言わなかった。でも、今回は本当に危ない気がする。
「何かが欠けるだけって、、軽く考えすぎじゃない?というか、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫!お姉ちゃんには迷惑かけないから!」
もうこれはダメな気がする。美里はここまで来るともう何を言っても無駄だ。しょうがない。まあ所詮作り話だろう。それよりも願いが気になる。
「ねえ、何を叶えてもらうの?」
さっき、「ちょっと何かが欠けるだけ」と言っていた。願い事によってはそこまで酷いことにはならないかもしれない。まあ、マコさんなんているわけないけれど。だけど、美里はウインクして、
「内緒!」
といい、部屋から出ていってしまった。
・・・
由美side
「、、、というわけで。」
「なるほど、そのあと妹さん、美里ちゃんが行方不明になっちゃったってこと?」
すごく重い話だった。三人の間に流れる空気はすごく暗くなっている。同時になんで私に相談されたのかも分かった。
「はい、私がもっと強く止めていれば、、こんなことにならなかったんです。」
香澄ちゃんは、私のせいだ。とすごく落ち込んでいて、それを文香が慰めるように言い聞かせている。
「きっと大丈夫。美里ちゃんだって無事だよ!」
「それに、怪談絡みの話なら由美ちゃんが絶対なんとかできるって!」
全く、文香は本人の前で根拠のないことばっか言って。でも、今回は、今回だけはのってみてもいいかもしれない。何よりこんな香澄ちゃんを放ってはおけないし。
「絶対、とは言えないよ?でも、できるだけ協力する。」
私は、文香みたいに気の利いた一言なんか言えない。でも、
「……はい!」
香澄ちゃんの声が少し明るくなったような気がした。
少女たちの七不思議 Amika @Amika0119
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。少女たちの七不思議の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます