少女たちの七不思議
Amika
第1話 出会い
「ねえ、知ってる?『マコさん』の話。」
「うん!知ってる。あの儀式のことだよね。」
「それでね、儀式をすると、願いが一つ叶うんだって。」
「でもね、その儀式には、『代償』がいるんだって。」
・・・
由美side
「由美ちゃん!いる?あっいた。由美ちゃん!」
ドタドタと教室に入ってきた彼女は、あくびをしていた私に凄い勢いで近づいた。
「何の騒ぎ?もう少し静かに入ってこれない?」
全く、せっかくの睡眠時間を邪魔しやがって。私は睡眠を邪魔されたことと朝の静けさを奪われた怒りを込めて彼女を睨む。
「わわ!ごめんって!由美ちゃんってほんと怖いな〜。」
「誰のせいだと、、、」
この、毎日のように睡眠妨害をしてくる彼女の名は天宮文香。小学校の頃からの腐れ縁だ。新聞部に所属していて、毎日ネタのために校内を駆けずりまわっているが生徒からの新聞の受けはあまり良くない。
「って、そんなことはどうでもいいの。」
机を勢いよく叩いた文香は、何かを思い出したように振り向いて、ドアの近くにいた少女に声をかけた。
「香澄ちゃん!入ってきて〜。」
声をかけられた少女は、どこか申し訳なさそうに教室に入ってきた。この子、誰だっけ?どっかで見たことあるような。
「えっと、由美さんすごい眠そうだけど大丈夫?」
あ、思い出した。この前の新聞コンクールで賞取ってた子だ。名前は確か、、
「優等生ちゃん?」
「え?」
やばい、ついあだ名の方で呼んでしまった。どうしよ、めっちゃ驚いた顔してるし。
「ちょっと〜。この子は香澄ちゃん!初対面からあだ名なんて、由美ちゃんにしては距離近くない?」
「ふふ、あだ名も嬉しいですけど、香澄と呼んでもらえると嬉しいです。」
「ごめん。よろしくね、香澄ちゃん。」
文香ナイス!ナイスかわかんないけど。とにかく場が和んだっぽいのでよかった。そうそう、月下香澄ちゃん。新聞部2年で、私たちと同学年。成績優秀で生徒からは優等生ちゃんとあだ名で呼ばれている。多分、先生からの評価もいいんだろう。知らないけど。
「と、ということで!この子、月下香澄ちゃん。由美ちゃんに相談したいことがあるってことで、会いに来たの。」
「えっと、文香ちゃんとは同じ新聞部で知り合って。」
「まあ、そんなわけよ。」
「それで、その相談って?」
すっかり眠気も覚めてしまった。
「はい!それが、美里、私の妹についてなんですが、、」
「妹さん?喧嘩でもしたの?」
妹さんいたんだ。というかなぜ私に?こういう相談は文香の方が向いてるのに。
「そんな事だったら、よかったんだけどね。」
文香にしては珍しく、重苦しい表情をしている。どうしたんだろ、あれだけ明るかったのに。よく考えたら、さっきからずっと香澄ちゃんの顔も暗い。あれは私が変な呼び方したからだと思ってたけど。もしかして違う?
「行方不明、なんです。」
香澄は消え入りそうな声で呟いた。
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