第20話 魔法使いと英雄9

 

 ヘイがサイコロを取り出しエナエナの群れの上空めがけて素手で思い切り投げ込み左手小指を立てる。

 サイコロが空中で、どでかいコンテナハウスに入れ替わりそれがエナエナを踏み潰す。


「行きますね。摩具トリプルハーツ! レッド起動!!」


 シンが摩具を起動させて、火の玉を五発生み出しコンテナハウスに向かって放った。

 それをニヤニヤ見てるヘイが叫ぶ。


「爆ぜろ!!」


 コンテナハウスが火の玉に撃ち抜かれ、大爆発した。

 ヘイのお得意の入れ替え爆撃によりコンテナハウス辺り一帯の魔獣が吹き飛ばされて魔石の雨に変わる。

 爆発に驚いたスズランたちは、シャドールの鎖に魔力を流し球体のバリアを張って見守った。


「まだまだ元気ですね。イエロー起動!!」


 シンは地面からトゲを出して近づいてきた魔獣を串刺しにした。

 ヘイも更にサイコロを取り出し今度は、スリングショットで撃ちだし右手小指を立てた。

 石ころがコンテナハウスに入れ替えわりボウルの群れを潰してく。

 それを見越して、シンが火の玉を放てばコンテナハウスが大爆発する。

 もはや、巻き込まれないように守りに徹しつつスズランに向かってくる魔獣を叩き砕く作業になっていた。


「どうだ! 俺様の特製爆弾コンテナハウスの威力よ!」

「金がかかる技ですけどね」

「経費で落ちるからいんだよ! 攻撃ぐらいは派手に行きたいんだよ俺は!」

「やれやれですね! ブルー起動!!」


 無駄話をしながら、次々に魔獣を蹴散らしていく。

 ヘイとシンが戦闘に加わったことにより、この場に魔獣の群れを粗方留めることができたが、それでも村の方に魔獣が数体向かってしまう。

 だが、三人の活躍のおかげで村にいた兵士たちの戦闘準備が整った。

 兵士たちが隊列を組んで向かい打ち、村の中への侵入は防げた。


「いい感じに時間稼げてたみたいね。私たちも頑張るはよシシボネ!」

「ギアを上げるぜ! スズランの魔力を足元に集中させる!」

「あれをやるのね!」


 球体のバリアを解いて、シャドールの足元に魔力が膨れ上がる。

 魔力が紫色の影となり魔獣たちの足元に広がる。その影が泡立ち魔獣の足元が爛れ始め猛毒ガスが吹き上がる酸の沼に変化した。

 そのガスを吸った魔獣は突然倒れて地面に這いつくばり爛れ腐り消滅して魔石に変わる。


「猛毒沼に変えるとか、精神をおかしくする煙などヤバい技しかないなあの鎧」

「余り関わり合いになりたくない相手ですね。それにそろそろ、バトンタッチの時間が近づいて来たのでお暇しますかね」

「そうだな。でも、これからあいつと対峙する可能性があるとすれば俺は逃げ出すかもしれない……」


 この二人から要注意人物に指定されたスズランたちは、二人がその場を去ろうとしていることに気付かず魔獣を鎖で沼に引きずり込むなどして蹂躙していた。

 そのとき、遠くから氷の粒が飛んできて魔獣たちを吹き飛ばす。

 








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100の力を使い切る 菖蒲 @sweetflag6435

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