第2話
「お待たせしましたー!ようこそお越しくださいました。こちらは無人島移住プランのお客様専用カウンターとなっております!私は受付のポミンと申します!」
そういってカウンターに現れたのは元気な茶髪の女の子だった。あれっ、ここはたぬきじゃないのか。
「無人島への移住プランにお申し込みのお客様でお間違いないでしょうか?」
「あっはい」
思わず答えちゃったぜ…。まぁ多分夢だろうしいいか。
なんか窓から見える飛行機は丸っこいし、周りを見てもメルヘンチックだ。ゲームと俺のおぼろげな空港イメージが混ざった感じ。さすが俺の夢。
「それでは、手続きを進めさせて頂きますねー。まずは、ご本人確認のためにお名前と生年月日をお教え頂けますかー?」
「はい。ふじた…いや、ビコーです。誕生日は2月10日です。」
どうせ夢だしゲームだし、本名ではなく普段使っているプレイヤーネームを伝えてみたが無事に本人確認出来たようだ。
よく考えたらどうやって行く本人確認しているんだろうか?事前に俺が移住プランに申し込んでいたという扱いっぽいが…。うーん、ご都合主義万歳。
などと考えていたら今度は写真撮影をするようだ。より島ではアバター作成の時間になるが…。
突然目の前に半透明のボードが現れる。
おお、RPGに出てくるステータスバーみたいだな。どうやらこの夢の中でもキャラクリエイトの時間になるようだ。
画面には下着を着た男女が並んでおり、性別から選べるらしい。とりあえず自分の性別である男を選ぶ。初期衣装は半そでか、リアルは7月だしちょうど良いな。
何度もやり直しているゲームだと見た目がある程度決まってくるもので、より島と似たこの夢のキャラデザもすぐに終わった。
白髪の前髪ぱっつんロングヘアーにオリーブ色の瞳。肌の色は一番白く!実際は黒髪小麦肌なんだが、ゲームは自分と違う見た目にするのが好きだ。
キャラクリが終わると自身の見た目も変わったようで、長くなった髪と色白になった手が見える。
「おぉー!いいですね!! それでは今から実際に移住する無人島を選びましょう!無人島なのでどこを選んでも変わらないですけどね!」
えっ、季節は選択しないのか。まぁ、どうせ日本と同じ季節にするし、省くとはさすが俺の夢。
そしてポミンさんよ、これが一番楽しいんだ…!
同じ島なんて無いんだよ!
先ほどと同じようにボードが目の前に現れる。画面に現れるのは4つの島。確かにぱっと見同じ無人島だが、よく見ると岬の形や広場の場所、海岸の位置が違うのだ。
「これ、他の島も見れますか?」
ゲームの場合はそのままやり直せば良いだけだけど、夢の中でやり直すってできるのか?今写っている島の中からしか選べないなてことないよな?俺の夢だし。
「はい、そのまま横にスライドしていただければほかの島の表示させますー。また、複数の島の見学も可能となっておりますー。」
言われた通り、スライドしてみると次の島候補が4つあらわれる。しかも、島見学ができるとは、リセマラせずとも選べるのは便利だ。
さて、一体どんな条件の島にしようか…ふっふっふっ。個人的には岬は大きめ、広場は飛行場より離れているのが好みだ。
しばらく悩んだ後、見てみたい島を5個ほど選びポミンさんに渡す。
「おー、この中からお客様の理想の島が見つかると良いですね! ちなみにですが、今回のプランには私もサポートとして同行させていただくんですよー!」
「へぇ、そうなんですね」
「おっ、ちょうどフライトの準備ができたようですね!それでは島見学に行きましょー!」
ポミンさんがそういうと、画面が切り替わり、俺はいつの間にか席に座っていた。うん、飛行機に乗った経験が高校の修学旅行しかなかったから再現できなかったんだな…。
アナウンスの後、より島のプロモーションビデオによく似た映像が流れる。無人島、楽しそうだ。
この夢がいつまで続くか分からないが、どうせ休みだし一日中寝ていても大丈夫。起きたらまた憂鬱な仕事が始まるんだし、今はこの時間を楽しもう。
あつまれスローライフ みいろ @mi1ro-2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あつまれスローライフの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます