『逆転裁判』のBGMから思った事
たてごと♪
『逆転裁判』のBGMから思った事
『逆転裁判』のBGMについて思う事がある。
初代のは、妙に
でも『3』になってから、それが霧散してしまった感じがした。
別に悪くなったとは言わない、むしろ良くもある。
ただ、普通な範囲で良い、だと思った。
裏切られたと思った。
でも見ると、『1・2』は
知ってみれば、怒りは悲しみに変わった。
前作の
そしてそれは、
それでも
後作には意外性が感じられなかった、つまり良いは良いても「うんうんそうだよね」という系統のそれしか無かった。
だから
もちろん『逆転裁判1・2』の曲も、いいと言う人は少なくない。
でも『3』からもっと良くなった、って声がやっぱり多い。
結果それで、ご本人的にも交代は正解だった、とのご認識らしい。
それでも『3』での担当交代は、とにかく
だから何だ、ってわけでもないけれど。
あ、もう1つ言う事あるわ。
狩魔豪のボイスかっこええ(
†
ただ、どちらが「プロとして正しい」かと言うなら、それは後者。
まず、プロとして一番大事なのは「採算の勘定」。
そもそも客は、どんな曲を買いに来るのか。
その客に対して、自分の作品は1曲いくらで売れるのか。
これを月に何曲売れば、生計が成り立つのか。
ちなみに駆け出しの作曲家が、1曲で5
月の生活に10万円必要なら、月20曲売らないと命が危ない。
〝プロは厳しいんだぞ〟とは言うけれど、なぜ厳しいかと言えば当然、生活が
もちろん兼業という手もあるけど、これが専業には太刀打ちできないのは言うまでもないかな、経験に差が出るから。
で、音楽を売るって実は結構ニッチな商売だから、それでは仕事として成り立たない。
そう考えていったとき、そもそも人は知らない物には触わらないから、特定の人に強く刺さる系の作品は、一般受けしない傾向が強い。
世に売られている音楽が、だいたい普通の範囲なのは基本このため。
「みんなの好みが収束する帯域」に商品が集中する結果、それが普通というポジションになるためだ。
つまり商品としては、オリジナリティは希薄じゃないといけない。
だからプロの仕事はユニークよりも卒ないこと、
あと「コンスタントな生産」も。
プロ作曲家は一般に「日に10曲はラフを出す」「うち2〜3曲は提出候補に残る」くらいのオーダーが要求される。
初めのうちは何とかなっても、そのうち大抵が息切れしてくる。
〝1000曲作ってからが本番〟なんて言葉もあるけど、曲数かぞえてるレベルじゃそもそも仕事にならない。
「息切れしています」などと漏らしている人に仕事は頼まれない、知ってる単語数だけアピールした挙句「すみません訳せません」などと
「業務が当たり前にこなされること」が、プロでは
要するに〝自分の好きな事をやってる場合じゃない〟ことを、理解しなきゃいけない。
それが
基本は完全に顧客の奴隷、それが商売というもの。
創作畑ほど勘違いされやすい事だけど、〝なりたい職に就いたからと言ってやりたい仕事ができるわけじゃない〟。
やっぱそこにロマンがある、「
でも
そんなのばっかりで、CもASMもほぼ出番なかったね。
まあ
演奏家に
はずすとその客は二度と来ない、それが「必需品でない物を売る」「代替品がほかに多数ある物を売る」って事だから、プロほど冒険をするわけにはいかない。
そして人は、知らない曲の演奏なんか聴かないから、良いとか悪いとかじゃなくて、オリジナルにはそもそも需要が無いんだ。
姉貴が美大出で、ガチの油彩もいける
ひと昔前に音ゲーやり込んでた人なら、もしかしたら姉貴の作品を見た事あるかもだけど、結婚退職するまでずっと「なんか3Dばっかで」と苦笑してた。
でも当時は〝時代は3D!〟だったから、企業としてはそれが当然の戦略だった。
やりたい事は基本、仕事ではできない。
†
「プロ・アマ」って区分けがあるけど、アマチュアは基本的にひとつの宗教。
自分の考えはこうだ、って物を提示するやつだから。
つまり他者からの承認を成立条件としないわけだけど、もっと言えば承認を成立条件としてしまうと、宗教がねじ曲がる。
そしてこのアマを否定すると、文化が発展しない。
多様性が消失するからね。
プロフェッショナルは、それと完全に逆。
対価を
そのためには何でもしなきゃ成立しないし、場合によっては自分の宗教も曲げなきゃいけない。
それが商売をするということ。
そしてこのプロを否定すると、文化が支えられない。
制作基盤が消失するからね。
だからどっちも必要なんだけど、真逆のものだけに「自己表現も見返りも」と欲張ると、自分が何をやってるのかわからなくなって、何も達成できずに終わる。
〝一度はプロになったけどアマ転向した〟〝プロ・アマの二足わらじでやってる〟って人が大勢いるけど、つまりその違いは技術レベルの差じゃない。
やってる事が違うんだ。
せっかくプロデビューできたのに、打ち切りくらって消えてく作家が多いのはほとんどの場合、ここらへんを了解してなかったからだと思ってる。
〝平和という概念は人類には早すぎる〟なんてことの説明を、一体ほかの
けれど、その評価を見てみればどうだろう、
そういう事。
というか、アマチュアとはそれのみに専念するもので、人からの評価などそもそも気にするものじゃないと考えるし、そして自分はそうしてやっていく、という覚悟ももう完了している。
けれど、それじゃあイヤなんだって人は、やり方を考えないと立ち行かないかと思う。
なぜなら、大半の人は「人気得点という人からの評価」を目当てとして創作をしてると思うけれど、それは金銭獲得を目的としながらも結局は「人気獲得を目標とするプロ行為」と、まったく違いの無いものだからだ。
それはもはやアマチュアではなく、ゆえに創作のアドバイス、特に成功者によるそれは得てして、プロ的な観点に
〝アドバイスごときで何故、自分の素晴らしい考えが否定されなければならんのか〟と怒り狂う前に、しとかなきゃいけない分別があるんだ。
アマでやるのか、アマチュアでやるとはどういう事か。
プロでやるのか、プロフェッショナルでやるとはどういう事か。
その意識は大事。
゠了゠
『逆転裁判』のBGMから思った事 たてごと♪ @TategotoYumiya
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