第13話 ミゲルとの決闘

ミゲルに決闘を申し込んだ俺は数日後、決闘場所で準備体操をしながら待っていた。


ひとしきり体操を終え呼吸を整えていると、街の方から土埃が立ち上がり、それが高速で近づいてきた。

近づいて来た土埃は、俺の数メートル前で止まると、大声で叫びたすように話しだした。


「おいハンスぅううううう!!!このミゲル様相手に決闘を申むとは、正気の沙汰かあ? しかもだ!ショッピングモールのお客様呼び出しアナウンスで、決闘場所を知らせるとは大馬鹿ものがあ!!頭が逝かれたかあ!」


「え〜だってそうしたほーがあ、ギャラリーとかが増えるしオモロイかなあ~と思いまして、ホラ見てよ!現に今日、こんな草原のド真ん中にこれだけの観客、そーは呼べないだろ」


まっ俺がSNSで拡散したのもあるけど…


「儂がもしこんな衆人環視の元で、元パーティーメンバーを半殺しにしたら、儂の評判に関わるのだあ!」


「ノンノン!お前みたいなジャ○アンみたいに幼稚にキレるぅ~おつむがちゅるんちゅるんの奴にはゼッテー負けね〜!それと〜俺はお前ほど頭が逝かれていないから、お前に決闘をガチで申し込んだ!そしてお前を今日コテンパンに、ぐうの音も言わせない位ぐっちゃんぐっちゃんにしてやる!」


次の瞬間、まるでワープするような全速力でミゲルが接近して来るのに気が付かなかった俺は、あの太く毛むくらじゃな腕から伸びる大きな手が俺の首を絡みつくように締め付けているのが分かった。


グェ~!!グフッゴホッゴホッ!

口から僅かに血の匂いがしてくる。間違いなく殺しに来てるな、ああ意識が…


「オラオラオラ~!!さっきまでの威勢の良さはどこさいったんだあ?安心しろやあ、クソ頭に来たからあ、ユックリユックリ〜と苦しみながらあの世に行かせるからなあ〜」


グッ!苦しい~シヌゥ!死んじゃうよ~

早く爺さん!早く!まだなのかあ!


ダ、駄目だ!このままだとマジでライフゼロになる、時間稼ぎが必要だ!ようし!


「オネショ...高校までおねしょ...」


「おt!!お前今なんて言った!!」


ドサッ!


ゴホッゴホッ!

「ふえ~死ぬかと思ったわ~」


「人の話聞いてるのかあ!!なんていった!!」


「誰かさんの高校の時のあだ名は、確かあ~寝小便小僧だったかなあ」


「なっなんでそれをしっ知ってるんだ...」


「お前が大株主の健康食品会社の商品リストの中にあったんだよ。夜尿症の改善健康食品が入ってた。愛用者の声でCMでてたね。お前は、今も度々オネショしてるな?知ってるぞう〜」


「儂の極秘事項を知ってるとは、今すぐお前はこの世からアンインストールだべさ」




「いや、CM出てて、極秘じゃねえだろ」


「やかましいわ!あれは地上波では放送が無いからOKしたんだ、問答無用!」


「ちょっと待った!今電話が掛かってきた」


俺は手でミゲルを制して、スマホの電話に出る。


"はい!あっそうですか、ありがとう爺さん助かります!"


「なっなんだ!誰と話してたんだ!」


電話を切り、俺はニヤつきながら、腕時計をみる。


「あと10秒、9、8、7」


「何が!10秒だ!」


「お前の保有する株価が1000分の1になるまでの時間」


「ナニイ!はっまさか!」


「はい、10秒経過、終了〜カンカンカン!時間切れでーす。ミゲルさん。あれえ?なんだかーミゲルさん、随分とお体が小さくなりましたねえ~別人みたい」(棒読)


先程までいた筋肉の塊のような怪物大男は4分の1スケールのような小さな小男に変わっていた。




そーうなの!その通り!お前の持ってる株価をある方のチカラをお借りしましてえ、鬼のように空売りさせて貰いました!(笑)本当は1000分の一の価格に下げて、2月の爆上げ前の価格に戻せばいいかなと思ったんだ。だけどさあ、大企業の株主であるお前が、決闘なんかして、相手の首を締めた動画が拡散されたから、お前の持ってる株は行使が停止されたんだよねーDA・KA・RA、お前のチカラは全て無効化されたんだよ」


「なっ!なんでそこまで詳しく知ってるんだ!」

「そんなこたあ、ドーだっていーんだよ!!俺にとってはなあ!」


「さあて、ミゲルクン、ところで今君は私よりかなり身体が細くて弱々しい感じがするが、このまま決闘とやらを続けたいの?」


ミゲルは俺に向かって土下座して泣きながら詫だした。





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レベル0、ひ弱過ぎてパーティーからBANされたので、本気だして株取引であいつらに復讐してやるわ!ちな今盗賊見習いに身ぐるみはがされMAPPA、誰か支援オナシャス! ITSUMONO @melonguma

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