エピローグ 呪術配信#

 彼女、卯月アリスと伊勢山奥の廃村で出会ってから、およそ一ヵ月が経った。


「それじゃ、桜守さくらもりくん、配信始めるよ」


 ロング丈の黒パーカーの女性に腕を絡められていた。


 卯月うづきアリス。

 チャンネル登録者300万人を誇る、大人気配信者である。


 色白い足の稜線を晒す無防備なミニスカートと対照的に、腕は手首までピンクのドクロがプリントされた袖で隠していた。

 目を大きく、鮮烈な紅を唇に引いた彼女の手には配信用の高性能カメラが握られている。


「みんなー、卯月アリスのお茶会にようこそー!」


 カメラのレンズは俺たち二人の背後に、水平連続窓の建造物を映していた。

 一年前に完成したばかりの新築高層高級マンションである。


「みんな見えるかな? このマンションの4階の角部屋で、1年間に3人も自殺者が出たんだって! 桜守くん、これはいったいどういうこと?」

「面倒な怪異――怪幻かいげんが巣食ってるな」


 二日前、卯月アリスの視聴者からアリスの連絡先にメールが届いた。

 送り主はマンションのオーナーで、住居者が次々自殺して悪評が広まり困っている。

 呪術的な嫌がらせを受けているのではないかとの内容を相談受けた。


 そして、いざ現場に来て、問題の部屋を通りから見上げれば、そこだけが、吐き気を催すような邪悪な瘴気に汚染されている。

 怨霊、物の怪、妖、悪神。

 よからぬ類の怪異が住み着いているのは間違いない。


「そうなんだ! さすが凄腕のおはらい師! 見ただけでわかるんだね!」

「呪術師な」

「今日はお祓いしに来たからお祓い師ですー」


 呪術に特化した配信を行い、視聴者から寄せられる呪術的な問題を解消する、卯月アリスのサブチャンネル。


「それじゃあ今日も! レッツ、呪術配信!」


***おしまい***


 もしよかったら★投下していってください。


 次回作→https://kakuyomu.jp/works/16817330656348160192

 『たとえば劇場版限定の悪役キャラに憧れた踏み台転生者が赤ちゃんの頃から過剰に努力して、原作一巻から主人公の前に絶望的な壁として立ちはだかるようなかませ犬転生』

 もよろしくお願いいたします。

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【呪術配信】底辺呪術師(天才)、チャンネル登録者数300万人の美少女配信者を怪物から助けるシーンが拡散されて、大人気ペア配信者デビューしてしまう 一ノ瀬るちあ🎨 @Ichinoserti

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