第18話
「ゲホゲホゲホゲホ......酷い目にあった」
あれから少しの間、イフリートとドライアドの二人に締め上げられていて今ようやく解放された。
「マスターが悪いんだからな?いくらなんでもDPを使いすぎだ」
「私もイフリートと同じ意見ですよ。泉のことを言ったのは私ですが、躊躇いもなくいくつも設置するなんて何を考えているんですか」
おや、解放されたと思ったら二人に呆れられてしまった。
まあ、仕方ないか。二人を含めてダンジョンモンスターは生まれてくる時にしっかり知識を持って生まれるみたいだが、それはあくまで基礎的なことや自信に関すること、そしてダンジョンに関する平均的なことみたいだから、それで俺みたいな魔力バカなイレギュラーに戸惑ったんだろうな。
「あー、二人ともDPの心配をしてくれるのは嬉しいんだけど、別に気にしなくて良いぞ?」
「何言ってるんだよマスター。一日でオレたち上位精霊を喚んで、環境にまで手を加えたらスッカラカンになってもおかしくないのに」
「えっ!?一日で私達を喚んだのですか!?」
まあ、普通ならそうなんだろうなぁ。
俺はそう思いながら、この一ヶ月間の修行で向上した魔力制御をわざと雑にして、イフリート達に俺の魔力量を感知できるようにした。
「とりあえず落ち着け。俺に文句を言うのは俺の魔力量を確認してからだ」
「魔力量?ああ、魔力をDPに変換することを言ってるのか?でも、他所のダンジョンマスターも緊急時くらいしかやらないみたいだし、マスターにだって限度があるだろ?」
「そうですよ、量はともかく変換効率が悪くて常用できないのが常識なんですから」
うーむ、コイツら頭硬いなぁ。とりあえず確認させるか。
「いいから早よ確認せんかい」
「わかったよ...」
「そんなに言うならわかりました」
そしてようやく二人は俺の手を握り魔力量を確認した。
「は?え?コレって!?は!?えぇぇぇぇぇぇ!!」
「嘘!?こんな量見たことない...!?まるで龍脈そのもの......!」
まあ、ミアも驚いていてしこの反応は予測できていたことではあるか。でもやっぱり俺の魔力量って上位精霊の二人が驚くぐらいだし、すごいんだな。
俺の魔力量の再確認が終わったところで話を進めるか。
「これで俺がDPを気にせず好きに使っている理由がわかっただろう?」
「ああ、マスターの魔力は異常なほど膨大だからな。それだけ魔力を持っているなら納得できる」
「はい、私もいまだに実感とかはないですがマスターがDPを湯水の如く使える理由には納得しました」
うん。二人とも納得してくれたみたいで何より。
「さて、このダンジョンのDP事情がわかったことだし、イフリート?さっき言ったようにドライアド達を案内してやってくれ。ドライアド達もダンジョンの中を見て変えたいところがあれば多少のことなら好きにしてくれていい、あんまり大きな変更をする際は教えて欲しいけどな?他にも設備が欲しくなったら言ってくれ」
「わかりました。ありがとうございます。それではイフリート、案内をお願いしますね」
「おう、しっかり端から端まで案内してやるよ」
そうして、ドライアド達はイフリートに先導されてダンジョンの中を見に行った。
ちなみに、他の精霊...エアリアル達はドライアド達がイフリートに連れられて行く時に同時に散らばっていった。もう少し調整でもしたかったんだろう。
「今回召喚する古代龍の数は下層部の管理を任せるつもりだから、二十体になるか。どんな個体がいるんだろう?」
少し疑問に思った俺が調べると、どうやら古代龍は一定以上の力を持った龍の総称らしく古代龍の中に赤龍や青龍、白龍や黒龍などがいるらしい。中には羽がなく厳つい体を持つ地龍や日本や中国などで有名な蛇のような体を持つ龍などもいるらしい。
「とりあえず召喚すれば細かいこともわかるだろ」
ほならば召喚召喚っと。
俺はDPを使い二十体の古代龍を召喚した。
「うお!?」
同時にDPがごっそり抜ける感覚もあって驚いたが、その驚愕は目の前に現れた二十体の龍によって塗り替えられた。
「スッゲ.........」
召喚された龍達は赤や青、緑に茶色。白や黒などと様々な色をしており、体は細めや太め、角の数や髭の有無はあれど羽がなかったり蛇のような体をせずオーソドックスな龍達だった。
「お初にお目にかかるマスター。我らの使命はなんでしょうかな?」
俺が驚いて固まっていると、龍達の内黒色の鱗で五十メートル以上巨体を持った龍が中性的な声で話しかけてきた。
「あ、ああ。俺がお前達を呼んだのはダンジョンの下層部を管理してもらうためで、管理に関しては一階層につき二体にやってもらうつもりだ。生まれてくる際にある程度の知識は持たされているらしいから、理解できるだろ?」
「ええ、このダンジョンのことも大雑把ではありますが理解しております」
そうなのか。それじゃあ早速仕事内容を話すか。
「なら話は早いな。お前達に管理して欲しい下層部は全十層からなっていて、上部三層はゴーレム種がクレイゴーレムやウッドゴーレムなどの下位種からタイラントゴーレムやオリハルコンゴーレムなどを上位種まで数多くいるんだが、全てスポーンモンスターなため定期的にそれを間引いて欲しい。残りの階層も間引きの点では同じだが、残りの七層は幼龍から龍王までの龍種がいる。これらのモンスターもスポーンモンスターだが、スポーンモンスターとは言え龍種を倒したくないとかがあれば聞くつもりだ。やってくれるか?」
「ご安心をマスター。スポーンモンスターはあくまでそのモンスターと同じ姿形をとっているとは言え、知能がなく本能のままに暴れるのみでしょう?そもそも龍種は弱肉強食。無闇矢鱈と同族を襲いはしませんが、襲ってきたならば躊躇いなく殺します。ゴーレムに関しても確かにタイラントゴーレムなどの上位種や最上位種は強いですが、問題ありません。ですので、その使命お受けいたします。他の者もそれで構わぬな?」
黒龍が後ろの龍達にそう聞くと、全員が頷きを返した。
「それならいい。今から行ってくれるか?ダンジョンの中を軽く見たいならその後でも構わない」
「わかりました」
うーん、まとめ役ぐらいは名前をつけてやりたいが...いい名前あるかな?
そうして、少し悩んだがいい名前を思いついた。
「なあ、お前にはこれから龍達のまとめ役を任せるつもりだ。それにあたって名前をつけようと思うがいいか?」
「はい!名前をいただけるなんてとても嬉しいです!」
おおう...こんなに喜ぶことなのか?後ろの龍達も気のせいか羨ましげに見つめている。
「そうだな...ノワールなんてどうだ?」
まあ、黒をフランス語にしただけだが俺にネーミングセンスを求められても困る。
名付けされた本人...本龍か?まあ、ノワールはと言うと、
「ノワール......ノワール」
噛み締めるように自身の名を呟いていた。
ふむ、気に入ってくれたみたいだな。でも似合うと思ったとは言え、ここまで嬉しそうにされると少し罪悪感的なものが芽生えそうだ...
あとそこ、羨ましそうな龍達。お前達の分まで名前を考えるのは無理だからな!名付けしてほしくば自分で名前を考えてこい!
それからしばらくして、ノワールは龍達を連れて下層部の管理に向かった。
ちなみに、名付けする際に俺個人の魔力がごっそり抜けたんだが、どうやらモンスターに上位者が名付けをすると名付け親の魔力を使ってモンスターを強化する作用もあるらしい。(DPで代用する事も出来るが、名付け親の魔力の方が馴染むらしい)
リエラの名を呼んだ時にも魔力がごっそり抜けたが、多分おんなじことが起きたんだと思う。
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主人公ネーミングセンス皆無=作者ネーミングセンス皆無...グハッ_:(´ཀ`」 ∠):
これからの名付けに関しては色関連とか増えるかも...しかも英語とかイタリア語とかごちゃ混ぜで...(許して)
名付けの上位者と言うのは名付けされる側が相手を上位者と認識している場合に起こります。なんなら相手をボコって無理矢理名付けも可(転◯ラ参照)
ちなリエラさんのランクはSSSです。上がったばかりでSSSの中では最弱クラスではありますけど。
ミアさんは、まあ...なんかヤベェのって考えといてください。
ダンジョンマスター押し付けられた(´・ω・`)〜ダンジョン防衛の為に軍隊を編成しましょう 龍流延焔 @ryuryuenen
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