【1話完結】幼馴染と、第二ボタン

空豆 空(そらまめくう)

幼馴染と、第二ボタン

「ついに卒業しちゃったねー」


「あーそーだな」


 私達は卒業式を終えて、この後の卒業パーティーの買い出しに向かっている。


 一緒に買い物班にされた隣のこいつは、子供の頃からの腐れ縁、杉浦悠斗。完全にヘタレ、草食系に分類されるヤツだ。そんな悠斗は朝からずっと上の空。私の気持ちなんて、知らないんだろうな……


「……悠斗さぁ、今日、誰かにボタンあげる?」


 思い切って聞いてみた。


「は? ボタン?」


「知らないの? 女の子は卒業式に、好きな男子の第二ボタン欲しがるものなんだよ」


「ふーん……」


 悠斗はやっぱり生返事。完全に上の空だ。


「ねぇ、さっきから何考えてるの?」


「あー、たとえばもし、俺がおまえを好きだって言ったら、どーする?」


 何を言い出すんだ。


「えー悠斗が? 言わないでしょーそんなこと」


「まぁ、言わないけど。たとえばだよ」


 言わないのかよ。言わないよね。

 悠斗の性格からして、絶対そんなこと言わない。けど……ちょっと、期待しちゃったじゃない。



「あーじゃあ、俺がもし、第二ボタンやるって言ったら?」


「んーそれは嬉しいよ? 私ずっと悠斗のこと好きだもん」


 あ、思わず言ってしまった。


「えっゴホッ マジ?」


「しらなーい、ばーか。さ、早く行かなきゃみんな待ってるよ」


 なんかもう、恥ずかしくなって来た。ここから逃げたい。


「ちょ、ちょ、待って、ハサミ持ってね?」


「はぁ? 持ってるけど、なにすんのー?」


「いいからっ貸して」


「はい」


 私はカバンの中からハサミを取り出して渡した。


 すると悠斗は


——プチッ


「やる」


 外した第二ボタンを差し出した。


「……ボタンくらい、漫画の主人公みたいに手で取って欲しいところだよね」


「いや、それ漫画の主人公だからだろ。普通、手でなんて取れないって、これ」


「ふーん、そんなもんか」


 これって……どーゆーことだろ。


「で? いるの、いらねーの?」


「しょーがないからもらってあげるよ。ばーーか」


「おう」


 期待していいのかな。


「ねぇ、明後日二人で、映画行かない?」


「あーいいな、それ」


 期待して……いいんだよね?


「二人だと、デートみたいだね」


「あぁ、いいんじゃね? それで」


 悠斗は相変わらずそっけないけど。


「じゃあ、おしゃれして行こうかな」


「あー、じゃあ、俺も」


 私は密かに、喜んだ。



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【1話完結】幼馴染と、第二ボタン 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711

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