第18話 最終日3・それぞれの決断
「やれやれだぜ」
春輝がどっかの作家よろしく頭をかいた。
「まあ、今のやり取りは動画で生配信しています。あとはあなたたちでなんとかしてください」
きっと、動画はこの学校の生徒や保護者中心に炎上しているのだろう。場合によっては出井やこの学校が人権侵害で訴えられるのかもしれない。
「あ、理事長も呼んだわ。補習自体あることを知らなかったのですって。数日前から生徒や先生の怪情報がネットに上がるから不審には思ってたそうだけど、呑気ね。これであちらとの合併話も無くなるでしょ。
私は生き残ったけど、やっぱこんな学校は退学するわ。学歴にこだわらなければ通信制や夜間もあるし、高卒認定とって進学するつもりだから実質留年には変わらないけど、なんか吹っ切れたわ」
二木はそう言ってアハハと笑った。
「僕もそうしようかな、大学かIT関係の学校行ってホワイトハッカー目指して人の黒歴史を消したり、ガードする会社を興すか」
「よせよ、春輝はメンタル弱ぇから依頼受けた時点でSAN値削られるのがオチだぜ。むしろ変態の俺がそれ、向いてるな」
「なんだよ、二人して楽しそうなこと企んでるな。メンタルは鍛えるというか慣れればなんとかなるんじゃね?」
「さて、吉田先生と職員室にいる加茂先生にも念のためゲーム終了を知らせに行きますか」
縛り上げてる二人を置いて四人は晴れ晴れとした気持ちで職員室へ向かった。春輝は今まで第二志望の学校で目標を見失っていたが、皮肉にもこの補習で道が決まった気がした。
その後、出井素学園は大炎上して、新入生は激減、合併話も消滅し、数年後に廃校となる。拓真はどうなったかは知らないし、誰も知りたいとは思わなかった。
四人はそれぞれ戦友のような絆で結ばれ、通信制なり夜間高校で高卒認定を受け、大学にてITを学んた二木を社長にホワイトハッカーのベンチャー企業を興すことになるのは数年後の話である。
ちなみに春輝と二木は出井素学園退学後も連絡を取るようになり、後に付き合うようになるのだが、それはまたいずれ別の機会に書くとしよう。
〜完〜
留年を回避するために社会的に死ぬデスゲームに参加するハメになった 達見ゆう @tatsumi-12
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