第十七話
水着に着替えたツナとヒルコを前にして、思わず鼻の下を伸ばしているとヒルコに、
「ヨルくん、普段はむっつりスケベだけど、お酒飲んだら純粋なスケベ野郎になるね」
と言われて少し傷つく。
「なんというかヨルくん。中ボスは中ボスでも、青年漫画の最初の敵って感じがするよね。こう、たくさんの女の子を囲って一緒にお風呂に入ってるのって」
「ぐ、具体的なタイトルは思いつかないけどなんかいそうな中ボスだ……」
「小さい子が好きだからなんかそういう雰囲気にならないだけで、腕っぷしが強くて女好きでって感じだから……」
俺はむしろロリコンによって印象がマシになっていた……?
いや、まぁ……普通に大きい美人さんばかりだと確かにそんな感じがするな……。
そう思いながらも酔って理性の働かない頭で二人の方を見る。
ツナは前と同じ水着で、相変わらず死ぬほど可愛い。酔ったせいかいつもは紳士ぶって見ないようにするところだが、どうしても視線がそちらに向いてしまう。
ヒルコの方は意外にもフリルのついたひらひらと可愛らしい白いビキニで、少し照れて手で隠そうとしている姿が可愛らしい。
「……視線がねっちょりしてる」
「ちょっと見るぐらいいいだろ……。水着なんて持ってたんだな」
「……大浴場作るかもって聞いてたから」
「あー、結局管理が面倒で作ってないな。でもなんでデカい風呂だと水着を?」
「……毎日三人で入って私一人だとハブかれてるみたいで嫌だったから」
ああ……そういうことか。
いや、いくら俺でも毎日両手に花の状態で風呂に浸かったりは……まぁ、したいけど、しません。
水着だと結局洗えないところが出るから入り直す必要があるので、毎日だと普通に手間である。
「ねっ、ねっ、ヨル。髪を洗ってほしいです」
「ああ、もちろん」
ツナは浮かれっぱなしで、いつもは隠している子供っぽい仕草でぴょこぴょこ動いて俺に抱きつく。
ツナと素肌同士が触れ合う感触に思わずデレデレとしてしまう。
「うわぁ……」
「引くな。……あ、ちょっとトイレに行ってくる」
「え、ええ……まぁ、いいけど」
なんでトイレに行くだけでドン引きされているんだ……? と思いながらトイレにいき、風呂場に戻るとヒルコが少し驚いた様子で「早い……ね。いや、これぐらいなのかな」と不思議なことを言う。
むしろ酒のせいで水分を撮りすぎていて結構遅かったように思うが。
「……何か変な勘違いしてない?」
「してないよ。……変態」
「待て、何か勘違いしてる」
「……別に責めてないよ、変態」
バリバリに冤罪で責められてる。
誤解を解こうとする前にツナに手を引かれて風呂場に入り、きゃっきゃと子供っぽくはしゃぐツナにお湯をかけられる。
ツナはもちろんヒルコも小さめではあるが、三人だと手狭で、少し動くたびに肌が触れ合ってしまう。
「んふふー、ヒルコさん、結婚式ですよ、結婚式。いいでしょー」
シャワーをぱちゃぱちゃとかけながらツナは自慢するが、ヒルコにとっては俺との式なんて羨ましいものでもなんでもないだろう。
「うん、そうだね。……アマネともするの?」
「あー、まぁ、それはアメさんとも相談してってところかな。アメさんがどう考えてるかも分からないし」
「そっか。……ハーレムも大変だね」
呆れまじりにヒルコに言われて、心の中で軽く頷く。
ヒルコの裸も見たことがあるため水着ぐらいなら気にならないかと思ったが、思ったよりもくるものがある。
ヒルコが軽く身体を流し終えて、先に湯船に浸かり、少し広くなった洗い場でツナの髪を手で撫でながらお湯をかけて流していく。
それから丁寧に髪を洗っていると、お湯の中で水着のフリルを揺らせていたヒルコが俺の方をじっと見ていることに気がつく。
「朝霧さん、どうするの?」
「あー……まぁ、仲良くはしたいと思ってるよ。けど、ちょっと難しいところもあるのがなぁ」
髪を洗われている間。ぎゅっと目を閉じているツナを見て隙だらけで今なら好きなところを触れるな……と、不埒な考えが浮かびながらも何もせずにお湯をかけて流していく。
「あの人だけはお手つきにはしないの?」
「俺が誰も彼もに手を出してるみたいな言い方を……。普通に、俺とじゃない方が幸せになれるだろうしなぁ」
俺がそう言うと、ヒルコは「それはヨルくんが決めることじゃないよ」と口にする。
「確かにヨルくんはすごいスケベだけど、それでも好きって変わり者はいて、変わり者からしたらそれが幸せなのかもしれないんだから」
「そこまでスケベではないだろ……」
ヒルコの方を見て、ついつい目線が胸の方にいきそうになるのを気合いで止めながらそう言う。
「……ヒルコ、勝ち誇った顔をするな」
「んー、よるー、身体も洗ってください」
「えっ、あ、いや……分かった」
我慢すべきかとも考えたが、我慢出来ずにツナにその手を向ける。
「肌が弱いので」と、言われるがままにボディソープを手にとって、少し泡立ててからツナの小さな身体に指を這わせる。
小さい体と柔らかい肌。
ぬるぬるとしたボディソープの感触。
ほっそりした体を撫でるように洗っていき、ツナは洗いやすいように俺の方を向いて少し脚を広げる。
普段は目にすることも出来ないうちももと、その奥の水着一枚だけに隠されている部分。
まだお湯に浸かってもいないのに湯だってしまうような気分になりながらツナの脚に手を伸ばすと、ツナはこそばゆそうに「んっ」と身を捩る。
下の方から少しずつ上の方に手を伸ばして、脚の付け根に近づけていく。
ツナはそれを受け入れるかのように少し足を広げて──。
「はい、ストップ。そこまで」
「なっ!? ま、まだ脚だからセーフだろ」
「そこはもうアウトだよ」
「っ……仮に、仮にアウトでも、俺は……ツナのふとももを触りたいんだ!」
「ついに限界を超え出したロリコン……」
顔を真っ赤にしているツナのふとももを触り回して欲望を満たしていくが、欲望は満たされる速度よりも早く強く新たな欲望を生み出していく。
胸を触りたいとか、肌を見たいとか、可愛い声を聞きたいとか。
明らかに大人の男が幼い少女には向けていけない欲が溢れ出してくる。
「人間、ここまで醜悪になれるんだ」
「そこまで言わなくてよくない……?」
「鏡に映る自分の姿を見てみたらいいよ。そこにあるし」
ヒルコは手を伸ばして曇った鏡を手で拭いて俺に自分の姿を直視させようとする。
「や、やめろぉ!!」
「鏡に映されると何かの真実が暴かれるタイプの中ボスの反応をしてる……」
「俺は、俺は見ないぞ。自分の姿なんて……! でれでれしながら童女の脚に夢中になってるロリコンの姿なんて見たくない……! 俺は、俺は、まだこの夢を終わらせたくない……!」
「目を逸らしても何も変わらないよ?」
やめてくれヒルコ。その発言は俺に聞く。やめてくれ。
【悲報】現代ダンジョンの最強の中ボスな俺、知らない間にダンジョン配信者達から『あまりに強すぎて笑う』とバズりまくってしまう。 ウサギ様 @bokukkozuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【悲報】現代ダンジョンの最強の中ボスな俺、知らない間にダンジョン配信者達から『あまりに強すぎて笑う』とバズりまくってしまう。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます