雑魚はいけませんよぉ~無能力者の俺は能力至上学園の女教師に個別誘惑雑魚治療される~

駄々駄菓子

第1話 雑魚治療①

 ツルギ・ケイは16歳になる年から入学できる、能力至上学園の入学試験に受験し、無事に合格をした。


 入学して早々面接が行われるらしく、ケイは面接室に向かっていた。横と後ろをしっかりと刈り上げたツーブロックの黒髪が風を切りながら能力至上学園の廊下を歩いている。その心は自身いっぱいだった。


 俺はこの学校を卒業して、優秀な軍人になるんだ。そして、必ずに復讐してやるんだ!!


 ケイには壮絶な過去があり、その結果家族は姉一人だ。また、その過去の原因となったのが姉のため、姉に対して憎しみを覚えている。姉もこの能力至上学園に通っており、復讐のためにこの学校を受験したと言っても過言ではない。


 そう決心を固めながら、面接室のドアを開けて中に入って行った。


 _____________

 ドアを開けると、机を挟んで向こう側に面接の相手の人が座っていた。ドアを開けてすぐに甘い香りがする。何か、花の香水だろう。相手は女性で、肩にかかるほどの長さのツヤツヤストレート黒髪だ。


「失礼します。」


「そこに座りなさい。」


「はい。」


 言われたとおりに、前の椅子に座る。相手の女性の低いトーンからして、堅実な人だという印象を受けた。


「初めまして。私はこの学園の教師を務めている、サトウ・ミズキです。よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。」


 年齢は、およそ20代後半といったところだろうか?すごく美人な人だった。


「ではまず、この学校の簡単な説明をします。」


 ミズキはそう言って、紙の資料をめくる。


 俺はこの学校が、軍人になるための教育施設だと言う事は知っていた。


「この学園は、私達が暮らしているファイア王国の中で最高の軍人育成施設です。隣国や魔物などと戦う軍人が現在不足してきているのがファイア王国の問題点となっています。そのための教育機関なのです。」


 なるほど・・ここまでは予想通り。


「そして、この学園の生徒の主な進路先は、軍人、冒険者、医者、この学校の教員、警官です。隣国との戦争は現在も長引いているため、強い者から優先的に軍人に入れられます。」


 ファイア王国の隣国である、アイス王国との戦争は長引いており、戦線は膠着しているが軍人は命を落とし続けている。一刻も早く優秀な人材が大勢必要なのだ。


「この学校が生徒に求めていることは、一択です。」


 ミズキのはっきりとした言い方に、ケイは息を呑んだ。


「では、それを踏まえてあなたの入試の成績を見ていきましょう。」


「え?」


 ミズキのいきなりの言葉に、ケイは目を見開く。面接を忘れ、間抜けな声を発してしまった。


「この学園では、それぞれ個人の能力にあった教育カリキュラムが組まれます。今からあなたのレベルにあった教育カリキュラムを発表するのです。いいですか?」


 ミズキは突き刺すような目でケイを見る。ケイは動揺しながらも頷いた。


 自分の教育カリキュラムはどんなものなのか、不安がよぎり緊張した。


「あなたの成績は、ペーパーテストの結果は中の上で合格点を突破。実戦試験の1対1でも勝利をして、入学を決めたようですね。


 ミズキは冷たく、乾いた、重い声だった。


 ち・・致命的な・・問題・・?


 ケイの背筋に鳥肌が立ち、冷汗が流れた。


使0これが致命的な問題点です。」


「でも!!強ければいいんじゃないですか!?能力が無くたって、俺は身体能力には自信があるんです!!だから、武器使えば十分戦えます!!」


 ケイは感情を激高させ、机に身を乗り出してそう訴えた。


「あ・・すいません。」


 出過ぎた真似をしてしまったと思い、ケイは椅子に座り直す。


「勘違いしているようですが、あなたより身体能力が良い生徒など、たくさんいますよ。総合力、潜在能力の観点から見て、この学園はあなたをと判断したのです。」


 ミズキは表情を変えず、残酷に事実を突きつけた。ケイは唇を震わせ、現実に打ちのめされる。


 そんな・・・。せっかく、入学を決めたというのに・・。


「お分かりいただけましたか?それともまだ何か言いたい事でもありますか?」


 ジロリという重たい視線に、俺は完全に屈服してしまった。喪失感がすごく押し寄せてきた。


「いいえ・・大丈夫です。」


「はい、では次に教育カリキュラムの説明をします。この学校には、Aクラス、Bクラス、Cクラスの3つに分かれています。それぞれ、能力が高い順に入学時に配属されます。」


 俺はもう察していた。この先生の言い方からして、俺は絶対Cクラスだろうと。


「あなたの配属されるクラスは、です。」


「へ・・?」


 一瞬、頭が真っ白になった。Aクラスでもない、Bクラスでもない、ましてはCクラスですらない。個別雑魚治療室というところに俺が配属されると理解するまで、相当な時間を要した。


「こ・・個別・・ざ・・雑魚治療室・・?」


「あらまぁ・・。動揺しているようですね。はい、そうですよ。Cクラスにも満たない能力ののための個別治療室です。そこは、一番学費が高いですが、優秀な教員の指導を1対1  マンツーマンで受けられます。ある意味では、贅沢ですよ。」


 俺は固唾を飲み、現実が重く肩にのしかかるのを感じた。絶望・・・絶望・・俺は・・Cクラス以下の雑魚なのか・・。


「大変言いにくいのですが、あなたは両親を亡くしているでしょう。学費はどうしますか?同じ学園に通うあなたの姉に払ってもらうのでしょうか?それを今日中に話し合ってきてください。」


 ミズキのその言葉に、ケイはハッと驚き、目線を上げた。


「俺が払います。」


「そうですか。では、あなただけでも学費を払える良いプランがありますので、それも後ほどに教えましょう。」


「分かりました。」


 ケイは自分の能力と、現実の状況を深く受け入れた。


 俺はこのまま終わらねえぞ・・。絶対クラスを駆け上がってやる!!!


「あなたの個別の指導教員は、私ミズキが担当します。それでは行きましょうか。個別雑魚治療室へ。」


 俺とミズキ先生の戦いはこの瞬間に始まった。


 _________

 主人公:ツルギ・ケイ

 年齢:16

 能力:なし

 この世界で唯一マナを持たない存在。身体能力のみで戦う。無能力のため、能力至上学園の雑魚治療室に送られてしまった。


 黒髪で、ツーブロックを自分の髪型として愛用している。理由は涼しいから。

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雑魚はいけませんよぉ~無能力者の俺は能力至上学園の女教師に個別誘惑雑魚治療される~ 駄々駄菓子 @takoyakidaisuki

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