第22話 【ブッコローのメモ書きのような備忘録】


×月×日


 クラスの席替えがあって、トリさんの隣になった。口数がすくなくて、真面目そうな女の子。前から気になっていたけれど、話しかけてみると、これが掘り出し物。こちらがボケると、キチンと突っ込んでくれる。


 とてもいい。まさに理想的。決めた。トリさんに決めた。


 何とか気に入ってもらって、僕を彼氏にしてもらうのだ。



                (中略)



×月×日


 めげた。心底めげた。


 高校生の時と同じだ。せっかく同じバイトになったのに、トリさんに告白をするつもりが、またボケてしまった。

 どうして、こんなに僕はチキンなのか、最悪へたれなのか、最低最悪の小心者なのか。

 緊急事態宣言になって、バイト時間が激減。明日からは、なかなかトリさんと会えないというのに。




×月×日


 ああ、トリさんとは簡単に会えないのに、身に沁みついた悲しいさがで、またもやボケてしまった。このままでは何も変わらない。


 こうなったらもう、最終兵器を使うしかない。伝家の宝刀を抜くしかない。もしかしたら、トリさんにだらしない男と見なされて、嫌われるかもしれないけど……。


 つまり、酔った勢いという、あの禁じ手を……。先輩の結婚式で、トリさんと同じテーブルにしてもらって、僕は男になる。




×月×日


 結果から言うと、

「思い切って妖怪同士組んだら、最大変顔でホッケーやった」


 うーん、ドキドキしているせいで、キレがイマイチ。本当は……、

「思い切って交際を申し込んだら、幸い、笑顔でオッケーだった」


 かなり時間がかかったけれど、トリさんは僕の彼女になった。





 PS.僕たちの関係は今も良好である。





                  了

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どこまでボケるの、ブッコローくん 坂本 光陽 @GLSFLS23

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