第2話『未知の惑星』

 海の向こうには水平線が見える、あるのは大地から生えた大きな白い岩だけ。そんな景色を眺めながら開けた草原を歩いていると、小さな生き物が遠くで逃げるように去っていく。


「綺麗な場所……まだ開拓されていないのかしら」


 このように生き物が住みやすい環境なのだ。知的生物がいる可能性が極めて高い、そうでなくてもいずれ高度な知能を持った生き物が生まれるだろう。

 それほどに、平穏な場所だった。


 太陽の光が海をきらきらを輝かせている。

 そよ風が草花を優しく揺らしている。


「あっと……あれ?」


 なにかずっしりと重い紐のようなものに引っかかり、転げそうになってしまった。

 一体なんだとその引っかかってしまったものを見てみると、黒い何か……そうコードのようなものだった。


「やっぱり、文明があるんじゃない、よかった……」


 何やらそのコードはかなり長いらしく、ずっと向こうの方まで続いているらしかった。

 辿る他、今の状況を打開できる方法も思いつきそうにないのでそのコードを辿ることにした。


 ひとつ、新たな希望に出逢えたことによって精神的にも余裕が出来て改めてこの星の環境を観察できる。


 鳥類や哺乳類、小さな虫や爬虫類も確認できた。

 この星は始祖たる人類の好む環境にちかしいものがあり、やはり知的生命体がいることは確実だろう。


 まさかコードが自然に生まれた物質とは考えまい。

 果たして本当にこれがコードなのか、切って確認して見たいものだが。それによって今後会うことになるかもしれない生命体と険悪になるのはごめんだと考えたのだ。


 歩いていくうちにたどり着いたのは、砂浜だった。

 海の波の音、空から聞こえる鳥類の鳴き声。

 この様な爽やかな体験ができるのは、いつの惑星ぶりだろうか。


 熱い防護服やマスクを脱ぎ去ってしまいたい、そう思わせるほどに居心地のいい場所だった。

 そしてそんな場所に、コードが続く先、閉じられた鉄製の扉が砂浜に一部顔を出して埋まっていた。


「コードが地面に埋まってる……この扉の奥になにか……でも壊したりしたら怒られるかしら」


 しかしここ何百年間開けられていません、と言ったような雰囲気のする扉だ。レーザーで小さな宇宙人が通るくらいの穴を開けてもいいだろうと。

 先程の慎重さが嘘かのように、行動が早かった。


「おじゃま、しま……すっ!と」


 レーザーで切り抜いた部分を思いっきり蹴って、扉の中の、地下へと侵入を成功した。

 地下は明らかな人工物。

 ちぎれたコードや壊れた機械の壁が、奥まで伸びている。


「進む、しかないわね、私ホラー苦手なのに……」


 ポケットから光源となる球体を、起動させると少し上の方で浮いて当たりを照らしてくれる。


「さあ、行くわよ」


 その光源球体を追尾させて、奥の奥まで歩いていくのだった。


 

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灯火ノ旅人 猫又 黒白 @Dasoku1231

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