第28話 ある老人の告白
誠実だが、不遇の環境の若者が、偶然に知り合った冴えない老人と仲良くなる
しかし、実は老人が財力を持った実力者で、その若者のピンチを助け、状況を好転させ、ゆくゆくは若者の人生を逆転に繋げていくという物語がある
私にもそれに近いものがなかったわけでもない。ほんの入口までだが・・・
私は休日にはランニングをしている、きっちり500メートル。近くの公園まで走り、ストレッチをしていると、老人が話かけてきた
近くの総合病院に入院していて、散歩してここまで来たと言う
私には、他人の個人的な話、それもディープな話を引き出す傾向がある
彼は見るからに老人だが、病人なのに何百メートルも散歩ができている
体力が落ちてるように見えない。どういう病気なんだろうか、検査入院か?元気そうに見える
話していくうちに、向こうから、素性を明かしてきた
これは順番が違う
私がピンチに陥ってから助けに来て、それから素性を明かす。それが様式美というものだろう。贅沢を言うと、その時には「このお方は・・・」と側近が身分を説明するのが望ましい
この老人は、大企業とまではいかないけど、中規模スクラップ処理会社の会長を引退した人だった
素晴らしい経歴だが、スーパーパワーがあるようでないような微妙な身分だ
私も別に、助けてもらうようなことも思い当たらない。まぁまぁ誠実だと思うが、不遇でもないし、助けてくれるような話にはなり得ない
ひたすら昔話、奇妙な話を聞かされる
時に、廃物処理業でも処理に困る物件があるという話
いよいよ困ったので山に埋めたことがあるそうだ
その埋めた物というのが ピストル2丁
私にそんな話をしないで欲しい。なぜかわからんが、体がむず痒い
その出所も聞いたはずだが、既に私の記憶から無くなっている
これが初対面の人間に言う話題かと
戦後間もない頃の話でもあり、大目に見てやるしかない
完全に時効だし
ボケ寸前老人の戯言だし
話を盛っているのだろう
そう信じよう
別に山に埋めなくても鉄屑の中に入れちゃえばいいじゃないかとは思った
しかし、老人の会社は建材ガラの処理をメインにしている。新築の建築現場にあるゴミコンテナの処理が生業だ
鉄系を処理に出す場合には、やっぱりクズ鉄屋さんに出すということになるのだろう
ブツを分解し何かに忍ばせたとしましょう、そして業者に行って出す
帰り際、ヤードから従業員が走ってきて 「ちょっと待て、なんて物を混ぜてくれたんだ・・・」と戸口で呼び止められ、新聞紙に包まれた銃身を差し出されたら、・・・ややこしいことになるのだろうな
まさに奇遇なのだが、私が勤めている会社とも関連があった
工場の1つと関係があり、うちの会社の人間が電線スクラップの横流をしていたと、それに加担していたという話をされた
ある有名な大きな川の河川敷で積み替える・・・
戦後間もない頃の話でもあり、大目に見てやるしかない
完全に時効だし
ボケ寸前老人の戯言だし
話を盛っているのだろう
そう信じよう
世間は改めて狭いものだと感じた
尾ヒレをつけて大げさに話して、若者を驚かしたい。そういった年頃なのだ
改めて、映画で見たのと違う
私にピンチがあったとして、助けられる気がまるでしない
むしろ、困らされせそうだ
人生の教訓話が変な話ばっかりで、本当にロクな話が無かった
せめて、人情話で締めろよと思う
どっちかと言うと、これは
私がこの老人を助ける筋書きの流れか
誰にも言ったことのない記憶が今となってはファンタジーだった話 Guppy of The Zroos @Guppy_of_The_Zroos
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