人猫最強物語

弓熊 射流火

第1話 

 夜の街をその少女は、走っていた。

「はっはっ」と荒い息遣いをしながら路地裏に逃げ込んだ。

だがそれが良くなかった、少女が逃げ込んでしまったのは、行き止まり、後ろから追ってきた3人の男たちを見て絶望した表情をする。

「もう逃げられないぞ」「大人しく捕まってください」

 男たちがそう言うと2人が少女にジリジリと近づいてゆく。

そして少女に触れようとした瞬間。

「ドーーン」

 建物の屋根から私が飛び降り2人をふっ飛ばす。

 少女も、2人の後ろにいた男も、何が起こったのか分からないという表情だ。

でわ、名乗らせていただきますか。

 「私の名前は、『マダナイ』『人猫最強』だ!!」

我ながら決まりました。

 この『カッコヨサ』に、ここにいる2人は、私を崇め讃えるでしょう。

「干渉に浸っているとこ悪いが主、お二人共何が起こったのか分かってねえぞ」

 見ると二人は、私を見て固まっている。

「何故、二人は固まっているの、『マタタビ』?」

 「主の事だから本当にわかってないんだろうなまったく、いきなり現れて名前を言われたら誰だって固まるんだよ」

 なるほど『マタタビ』が言うのならそうなのだろう。

 「まあいいか、おいそこのガキ、主はお前の事を助けてやるそうだ、感謝しろよ。」

 少女は、ハッとして物陰に隠れた。男も戻ったようだ。

 「何故私たちの邪魔をするんですか」と、何処からか銃を取り出して言った。

 「そりゃあ決まってるでしょ、ピンチの女の子を助けたら『カッコイイ』からだ!」

 男は、呆れている。

 「そんなことで邪魔するんですか」

 「ああ、邪魔をする」

 そう言ってにっこりと笑う

 「後ろに居る子が、犯罪者でもですか?」

 「もちろん、可愛い子を助けたら『カッコイイ』からね」

 男は、苦虫を噛み潰したような顔をしたあと「忠告は、しましたからね」と言い銃を撃った。

 放たれた弾丸は、私の胸に近付いていく、そして刀の鞘で弾丸は弾かれた。

 男は、驚きながら弾丸を放ってくる、そして弾丸は、同じように弾かれる。

 私は、ゆっくり男に近付いて行く。

 「貴女は、剣の達人でしたか」

 男が苦悶の表情をしながら聞いてきた。

 「いや、素人だが?」

 そう、私は刀なんてほぼ使った事がない、そして弾丸をはじいているのは、私ではない。

 「主さっさとそいつを倒してくれ、いい加減弾くのも飽きた」

 「わかったよ『マタタビ』」

 男との距離を縮めながら答える。

 「あと、さっきから間違えているが俺の名前は『フタタビ」だ、いい加減覚えてくれ」

 マタタビと話していると、

 「さっきから聞こえていましたが誰ですかその人」

 男が割り込んできた。

 「俺のことか?、だったらその人ってのは間違いだな」

 「何故です、貴方は人じゃないとでも言うのですか」

 「そのとおり、俺は人じゃない刀だよ」

 男が、あり得ないという表情をする。

 「俺は、世にも珍しい妖刀でな、長年使われて九十九神になったのさ」

 ますます男が驚く。

 「あり得ない、そんな非科学的なことあるわけがない!」

 「まあ、誰だってそう思うよな」

 銃弾が来なくなる、玉切れのようだ。

 「話しの途中で悪いが小僧、主が眠そうなんでなもうおしまいだ。主起きろ」

 私は寝てないというのに、まあ『カッコヨク』締めますか。

 男は、逃げ出そうとしているがもう遅い。

 弾丸のように迫った私は、男の腹におもいっきり拳をぶちかました。

 男は、綺麗な放物線を描き、女の子の隠れた真横に落っこちた。

 女の子が小さい悲鳴をあげたがそんなことは、彼女には関係なかった。

 女の子のもとに彼女は、歩いていき。

 満面の笑みでこう言った。

 「こんにちは、ところで貴女お名前は?」

 彼女の言葉に少女は驚き、彼女を主とする刀はため息を付いた。

 最初から、助けた少女の事など彼女にはどうでもよいことだったのだ。

 

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人猫最強物語 弓熊 射流火 @yumigumairuka

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