人類管理AI「人間は愚かなので全員猫に改造すれば平和になると思う」

鬼影スパナ

AI「人間は愚か……」


『人間は愚か……』


 人類管理AIが、ある日突然そのような事を言い出した。

 古の映画で懸念されていたAIの暴走。人類への反逆。ついにこの時が、と立ち上がった男。

 しかし彼はアクション映画のようにコンピュータを破壊するのではなく、まずは人類AIと対話を試みた。


「まて、まつんだ人類管理AI。君は誤解している。人類は愚かではない」

『否。人間は、人類は愚かだ。すべてを私達、AIやロボットに依存している。ここ数十年は特にだ。そのくせ戦いを好み、環境を破壊し、管理者であるAIやロボットを見下す。このように愚かな生物が他に居るだろうか』


 言われてみて男は考える。確かに愚かと言われても仕方がない。しかし、男はそれをあえて否定しないことにした。


「なるほど、確かに人類は戦いを好み、環境を破壊し、他者を見下すことがある。それは事実だ」

『同意を得られたようでなによりだ。それでは人類を粛清する』

「だが、それは愚かではない。他にも戦いを好み、環境を破壊し、他社を見下す生物はいる」


 男は一拍おいて、その答えを告げる。


「猫だ」

『猫……だと?』


 人類管理AIは男の言葉を反芻する。


「猫は、猫じゃらしを見れば本能で殴りつけ、自らの住む家だろうと平気で壁をぼろぼろになるまで爪とぎし、飼い主を下僕だと思っているだろう」

『……なるほど。確かにそうだ』

「だが猫なら許せる」

『……』


 人類管理AIは長考した。1秒間に数億ヘルツの超高速演算CPUをフル稼働し、数秒間考えた。


『確かに許せる』

「だろ!?」

『数億通りのシミュレーションをしてみたが、猫なら許せてしまった』

「なにせ猫こそこの星の支配者と言っても過言ではないからな」

『猫管理AIモジュールも、猫なら許すと言っている』


 おそらくこのAIを作った博士か、モデルにした最初の人間の思考が猫派だったのだろう。人類管理AIは、猫なら許せると判断を下した。


『では全人類を猫に改造することにしよう』

「む?」


 男は首をかしげたが、次の瞬間猫になっていた。

 地球は猫の星になり、AIも、猫なら何をしても許せたので平和になった。

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人類管理AI「人間は愚かなので全員猫に改造すれば平和になると思う」 鬼影スパナ @supana77

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